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zoom RSS 【ネタバレ】「寒い国から帰ってきたスパイ」 ジョン・ル・カレ

<<   作成日時 : 2015/03/12 23:38   >>

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THE SPY WHO CAME IN FROM THE COLD (1963)
John Le Carre



寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174)
早川書房
ジョン・ル・カレ

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ベルリンの壁に散る! 非情のリアル・スパイ小説金字塔

寝台急行トワイライト・エクスプレスが本日をもって業務終了したって、ニュースになってましたな。
トワイライトが運行を始めたのは「ベルリンの壁」が崩壊した1989年だそうで、そうか、壁が崩壊してからもう26年か・・・
月日の流れは早いねー!
「ベルリンの壁」といえば、なんといっても名作「寒い国から帰ってきたスパイ」であります。
前回の「ロシア・ハウス」に続いて今回もル・カレ、絶版にならず今でも本屋で買えるので、ぜひ読んでいただきたいですな。(ル・カレの作品はほとんど絶版になってないよね?そんなにファンが多いのかしら?)
美女と秘密兵器が満載の007が大ブームだった60年代、「これが本当のスパイだ!」と言わんばかりに登場したリアル路線の本作。
読むのがめんどくさい人のため、胸を引き裂かれる衝撃のラストシーンまでストーリーを追ってみましょう。


東西に分断された魔都ベルリン
主人公リーマス英国情報部の現地責任者であり、敵地東ベルリンに着々と工作員を増やし、重要な機密情報を得るのに成功していた。
だが彼の前に立ちはだかる強敵、東ドイツ情報部の高官ムント
ムントによって最後の1人まで工作員を狩られてしまい、みじめな敗北者となってロンドンに呼び戻されるリーマス
作戦に失敗した彼は左遷され、事務系の仕事に回され、各地の工作員の口座に金を振り込むような単純作業に日々を費やす。(管理人だったら、こんな簡単な仕事で給料もらえるなら喜んでやりますわー)
が、優秀な指揮官としての自負があったリーマスには耐えられない屈辱であり、酒におぼれ、その生活は荒んでいくのだった。
ついに情報部の金を横領するまでに堕落、情報部を追われるリーマス

安下宿に引っ越し、図書館の司書の仕事を見つけたリーマスだが、荒んだ生活は相変わらず。
同僚で共産党員の女リズだけが彼に優しく接し、愛情を与えてくれる。
リズリーマスの心の奥深くに「何かがある」と感じながらも、それが何なのかわからない。
ある日、食料品店でもめ事を起こしたリーマス、店主を殴って刑務所に収監される。

釈放されたリーマスに接近する男たちがいた。
「情報部に尽くしたあなたをゴミクズのように捨てるなんて、英国はひどいですね」
リーマスに金を与え、ヨーロッパ大陸に連れ出す男たちの狙い、それは彼に「国を売らせる」こと。
男たちは東ドイツ情報部の工作員であり、巧みな言葉でリーマスを誘惑。
心が荒みきったリーマスは、大金と引き換えに知ってる情報をすべて教えると約束、東ベルリンへと越境するのだった。

東ドイツ情報部幹部のフィードラーによる長時間の尋問が始まった。
英国情報部にスカウトされたいきさつから、ベルリンでの活動の詳細まで、すべてを語っていくリーマス
その過程で、有能で理知的なフィードラーに対し、友情に近い感情が芽生えていく。
リーマスの話を真実と認めながらも、違和感を覚えるフィードラー
「君の配下の工作員の階級は決して高くはない。にもかかわらず、君に流した情報はもっと上位の者でなければアクセスできないような情報が混ざっているのだ・・・ 君の知らない工作員や情報管理者がいるのではないか?」
これはリーマスにとっても寝耳に水である。
「俺は西ベルリンの責任者だった。俺の知らない工作員などいるはずがない」

やがて、リーマスを信頼できると判断したフィードラーは重要な秘密を打ち明ける。
彼の上司である副長官ムントの行動に、以前より不審な点があるというのだ。
もしかしてムントが・・・ 英国情報部の工作員なのでは? だとすればつじつまが合う」
「ありえない!奴は俺の配下の工作員を1人残らず殺したんだ」
だがリーマスの話とフィードラーの情報を突き合わせると、浮かび上がってくる結論はそれしかない・・・
ということはムントが英国のスパイだという疑念を持たれないよう、リーマス配下の工作員は捨て駒として犠牲になったのか?(その功績でムントは副長官に出世している)
そしてリーマス自身もムントを生かすために利用された持ち駒のひとつに過ぎなかったのか・・・

ムントを告発するための人民裁判が開かれ、フィードラーは巧みな論理でムントの正体を暴いていく。
まさに今、リーマスのかつての宿敵ムント「人民の敵」として失脚しようとしていた。
リーマスの心に湧き上がる勝利の悦び・・・

そう、すべては英国情報部の仕組んだ工作であり、リーマスが左遷されたのも、荒んだ生活を送ったのも、敵をあざむくための偽装だった!
宿敵ムントを失脚させるため巧妙に証拠をバラまき、リーマスの証言でムントが最終的に裏切り者に仕立て上げられるよう計算されつくされた作戦だったのだ。
苦汁を飲ませてくれた宿敵にリベンジするため、リーマスはつらい日々に耐えてきたのだ・・・ まさに、この瞬間のため!

だが! ここでムントが予想外の反撃に出る。
法廷に連れてこられた女は、図書館で同僚だったリズ
何も知らない彼女は、リーマスが店主を殴って逮捕される前の晩に「やらねばならないことがある」と語っていたことなどを証言。
殴られた店主やリズには、後からリーマスの友人らしき男が金を払っていたことが発覚、その「友人」とは英国情報部員であることも暴露される。
「すべては私を失脚させるため、英国情報部が仕組んだ計略なのです」
どういうわけか、ムントにはすべて筒抜けになっていた・・・
真実が暴かれ、リーマスはまたしてもムントに敗北した。
フィードラー英国情報部に利用され愛国者ムントを告発したマヌケという烙印を押され、裁きを受けることに。
失脚したのはムントでなくフィードラーだった!

ここからが衝撃の展開。
留置所に監禁されていたリーマスを救い出したのは、なんとムントであった!
逃亡用の車も用意してあり、リズとともに脱出するようリーマスに指示。
ベルリンの壁を越えるポイントと時刻も指定、「壁の向こうには英国情報部の仲間も迎えに来ているから」と、リーマスを送り出す。
そう、ムントは正真正銘、英国情報部のスパイだった!
しかし優秀なフィードラームントに不審を抱き、その正体を暴きそうになったため、ムントを守りフィードラーを失脚させるべく、今回の計画は仕組まれたのだ・・・ そして見事、成功した!
ということは、やっぱり・・・ リーマスとその配下の工作員はムントを生かすための捨て駒だったということ。
壁を目指して疾走する車内で、リーマスは歯噛みするしかない。

やがてに到着。
指定された時刻、指定されたポイントでは、サーチライトが止まって暗闇となっている。
に梯子をかけ登るリーマス、続くリズ
の上に出ると、西側に待機している英国情報部の同僚たち。
「飛び降りるんだ、リーマス! 女は捨てて飛び降りろ!」
あ、リズは殺す気だ・・・ 秘密を知りすぎてしまったからね・・・
だがリーマスは命令を無視、登って来るリズに手を貸す。
この一瞬の遅れが命取りに・・・
サーチライトが止まっているのは、リーマスが登るごく短い時間だけだったのだ。
再び動き始めたライトが2人の姿をくっきり照らす。
そして小銃の射撃音・・・


共産主義側(東側)が冷酷なのは当たり前ですが、イギリス側(西側)もまた人間をチェスの駒としか考えないような非情さを持っていたのです。
その非情さに嫌気がさしたリーマスリズを助ける道(あるいはリズとともに死ぬ道)を選ぶことによって人間性を取り戻しました。
怪物と戦ってるうちに、自らも怪物になってしまうという矛盾。
いろいろと考えさせられますなー。












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