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zoom RSS 【ネタバレ】「ティモシー・アーチャーの転生」フィリップ・K・ディック

<<   作成日時 : 2017/03/30 11:05   >>

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THE TRANSMIGRATION OF TIMOTHY ARCHER (1982)
Philip K. Dick



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早川書房
フィリップ・K・ディック

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ディック最後のメッセージは非SF・・・ ん?SFかな?

映画「ブレードランナー」のヒットを見ることなく、貧困の中、ヤク中のまま逝った作家フィリップ・K・ディック
SF作家を脱して一般向け文芸作品を書くことを目指していたようですが、この遺作はこれまでのディック小説とガラリと変わり、SF要素もなければ、世界がグニョグニョになるディック体験」もない、普通小説・・・ と思わせて、普通ではなかった小説。
ディックはやはり、愛とか人間とか社会とか、そんなありきたりなことを書きたかったわけではなく、この宇宙は一体どうなっているのか、神は実在するのか、人間はどこから来てどこへ行くのか、といった人類究極の謎を本気で解明しようとしていたと思うし、そこが「普通の文学作家」とは根本的に違うのではないか。
本質的にSF・・・ というより宗教、もしディックが長生きしてたら、新たな宗教を立ち上げて教祖になってたんじゃないかな。

限りなく普通小説に近い本作は、決して読みにくくはなく、むしろわかりやすい内容でありまして、しかしやっぱり大きな謎をラストに残すのであります。
あらすじの前に、登場人物を紹介しておきましょう。

主人公エンジェル・アーチャーディック史上初の女性主人公か?
リベラル派の本拠地カリフォルニアのバークレーで「プロの学生」を続ける、いわゆる意識高い系の人。

ジェフ・アーチャー・・・ エンジェルの夫。精神不安定。父親は有名なティモシー・アーチャー司教

ティモシー・アーチャー司教・・・ 本作の真の主人公。元弁護士で精力的、知的好奇心旺盛、大量の難しい本を読み、頻繁にそれを引用したがる。
半分はディック自身がモデルではなかろうか。
イスラエルの砂漠で発見された「ザドク派文書」の解明に情熱を注ぐが、文書に記された古代キリスト教の秘密が明らかになるにつれ、現代のキリスト教教義に疑問を抱くようになり、輪廻転生なども信じるに至る。
義理の娘であるエンジェルとも仲が良く、2人が神学その他について議論するところが楽しめるかどうかで、本作の評価は変わるでしょう。

カースタン・・・ エンジェルの友人でフェミニズム運動をやってるめんどうくさい女性。
エンジェルの紹介でアーチャー司教に講演を依頼したことがきっかけで司教と昵懇になり、やがて秘書となり、ついには愛人となってしまう。

ビル・・・ カースタンの前夫との息子。
精神分裂症(出た!)で病院を出たり入ったりしている。
自動車好きの青年で、車について語り始めると延々と1人で語り続けるところが病的。
本作におけるキーパーソン、ディック作品ならではの人物。


さて、あらすじは意外とシンプルです。

1、カースタンとラブラブな関係になった司教「ザドク派文書」の研究のため、2人でロンドンへ。
息子のジェフは、父をカースタンに取られた(あるいはカースタンを父に取られた?)と思いこんで自殺。(ジョン・レノンが自殺したショックもあったようだ)

2、ジェフの自殺にショックを受け、自責の念に駆られる熟年カップル。
やがて2人そろって、「ジェフが死後の世界から帰ってきて、我々にメッセージを伝えようとしている」という妄想にとらわれるように。
有名な霊媒師に見てもらったところ、やはりジェフ霊が来ているという診断。
ジェフはあなた方を許すと言ってるよー!」

3、エンジェルは壊れつつある親友カースタンを説得しようと、「あんな霊媒はインチキだから。霊なんかいないから」
やがてカースタンも自殺。(ジェフの死によるショックだけでなく、自らも病気を抱えていて、その不安もあったようだ。ちなみに例の霊媒師はカースタンが病んでいることを一発で見抜いた)

4、ますます「ザドク派文書」にはまっていく主教は、それが発見されたイスラエルの砂漠で実地調査しようと決意。
秘書として同行してくれとエンジェルに頼むが・・・ イヤな予感しかしないエンジェルはそれを拒否。
主教は1人、ろくな準備もしないまま砂漠に旅立ち、案の定というか道に迷って死体となって発見される。

5、主教の死、3人の身内の死に責任を感じるエンジェル
入院中のカースタンの息子ビル精神分裂症)を訪ねてみると、ビルはとつぜんアーチャー主教の言葉を語り始める。
「私は霊となって帰ってきた! 死後の世界は、輪廻転生は実在する!」
ビルの正体は「菩薩」だったらしい・・・
キリスト教から始まって仏教で終わるところがディックらしい。

ディックの魂はこの宇宙のどこか(あるいは宇宙の外のどこか)にいるのでしょうか、それともすでに輪廻転生したのでしょうか。
壮大なテーマに挑戦した作家の人生は、ここに終わりを告げたのであります。



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