【ネタバレ】「闇に囁くもの」H・P・ラヴクラフト

THE WHISPERER IN DARKNESS (1930)
Howard Phillips Lovecraft



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★登場する怪物★ ユゴス星人(ミ=ゴあるいはマイ・ゴウ)

ラヴクラフト全作品レビューも、残すところ10数作。
個人的に1番好きな作品のひとつ「闇に囁くもの」を、心をこめてレビューしますぞ!
「宇宙人をテーマにした怪奇小説」である本作の感触、なんか懐かしい・・・ 何かに似てる・・・ と思ったら、子供の頃、木曜スペシャル水曜スペシャルで見たUFO&宇宙人特集の、あの感じ!
幽霊ほどではないけど、宇宙人も怖かった子供時代。
最近はああいう、宇宙の恐怖で子供を怯えさせるような番組はあまり見ないですなー。
(そういえば「ウルトラセブン」宇宙人もけっこう怖かった・・・)
ラヴクラフトの時代、宇宙の実体は今よりはるかに謎に包まれていたわけで、リアルで宇宙人が怖い人も多かったでしょうな。
本作執筆から8年後には、オーソン・ウェルズ「火星人襲来パニック事件」なんてのもアメリカでありましたからな。

クトゥルー神話に登場する邪神たちは、いずれも正体は宇宙人なわけですが、ハッキリと「宇宙人」という単語が出てくるのは、本作だけだったような。
その宇宙人とは、ユゴス星(冥王星)から飛来するサザエのような頭、海老のような体、コウモリのような翼を持つ種族ミ=ゴ
人類誕生のはるか以前より地球で活動してる「先輩地球人」でもあるので、宇宙人呼ばわりも違和感を感じますが・・・
クトゥルー神話の怪物の中では比較的地球人に近い存在であり、お友達になるのも不可能ではないかもしれません。
本作の主人公には無理だったけどね。

物語の前半は文学教師である主人公と、「宇宙人と遭遇した」と称するエイクリーなる人物の文通、後半はいよいよ主人公バーモント州の山奥の家にエイクリーを訪ねます。
アメリカ各地の伝承を収集する主人公は、バーモント州の山奥で目撃される怪生物ミ=ゴの噂を聞き、それに関する論文を新聞に投稿。
それがもとで、エイクリーという人物から手紙を受け取り、事件に巻きこまれていく。
「私は彼らの足跡を見たし、彼らの話し声をレコードに録音しました。彼らは人間の間にスパイを放ち、自分たちの存在に気づいた人間を消そうとしています。今、私は狙われているのです!
バーモントの山深い地に住むエイクリーは、一帯で活動する宇宙人ミ=ゴの存在を察知したため、たびたび攻撃を受けているという。
飼い犬を殺したりポストから郵便物を抜き取ったりとか、ちょっとセコイ攻撃ではありますが(笑
ちなみにミ=ゴの体は特殊な物質でできているため、人間の目には見えない。
あくまでも話し声足跡によってのみ、存在を知ることができる。
彼らは山奥の鉱山で採掘してるだけで、別に地球侵略とか考えてないらしい。
それにしても、「姿の見えない宇宙人が私をいつも監視していて、ポストから手紙を抜き取ったりする」という話、どう考えても精神科に行った方がいいですよね!
さて2人は文通を重ねるが、しだいにエイクリーは孤立し、緊迫した状況に追いこまれていく。
番犬を増やしても次々殺され、家には銃弾が撃ちこまれたという知らせに、主人公は実際にエイクリーを訪ね、警察に相談するよう説得する決意を固める。

と、まもなく、それまでとガラッと雰囲気の変わった手紙が届いた。
今までは手書きだったのに、今回はタイプ打ち。
宇宙人たちと和解した。彼らは実に親切で、科学的な種族だ。今度私を宇宙旅行に連れてってくれるという。あなたもぜひ、こちらに来て、彼らと友人になってはどうか」
主人公はまったく不審に思わず、宇宙人と友達になれる!宇宙旅行に行ける!と、浮かれた気持ちでバーモント州へ旅立つのだった。
どう考えても罠でしょ・・・


★衝撃の結末★

美しくも不気味なバーモントの山々、その山中の一軒家に、主人公は到着。
出迎えるエイクリー、実際に会うのは初めてだが、まるで蝋人形のように無表情な、ボソボソと囁く薄気味悪い人物だった。
家には他に住人はいないし、犬も1匹もいない。
彼はダイニング・ルームで主人公に、宇宙人が約束してくれた冥王星への旅行の話をする。
なんと!宇宙船なんてものはない!
人間の体から脳を摘出、それを特殊な保存ボックスに収め、宇宙人がそれを小脇にかかえて(笑)、で宇宙を飛んでいく、あまりにもトンデモない宇宙旅行だった!
まるで「キャプテン・フュ-チャー」「生きている脳」サイモンのようですが、宇宙でボックスを落としたらどーすんだ(汗
「あなたもいっしょに、どうですか」と勧められる主人公、しかし全力でお断りだ!
さらにエイクリーは、「宇宙人から聞いた話ですが」と、人類が決して知ることができない宇宙のいろんな星、いろんな世界の話をしてくれるのですが(けっこう親切)、宇宙に興味津々だった主人公も、あまりにも人類の理解を超越した、すさまじい狂気のような宇宙話にお腹イッパイ、吐き気を覚えてくるのだった。

夜、2階の寝室で主人公が目を覚ますと・・・ 階下のダイニング・ルームでガヤガヤと、人間のものではないような囁き声で会話しているのが聞こえる。
この家には、宇宙人が自由に出入りしている・・・ 今さらながら、最後に来たタイプ打ちの手紙も何か怪しい。
ようやく、宇宙人の罠ではないかと疑い始めた主人公、恐怖と嫌悪感でいっぱいに。
囁き声が消えた後、エイクリーを連れて脱出する覚悟を決め、階下へ。
エイクリーは昼間座っていた椅子に、そのまま座って・・・ いや、エイクリーの服だけが椅子にかかっており、中身は空。
そして、蝋人形のようなエイクリーの首がゴロッと椅子に置いてあった!
主人公が到着した時、すでにエイクリーなど、この家にいなかったのだ!
無我夢中で主人公は車に乗りこみ、夜の山道を町へと逃げていく。

おそらく本物のエイクリーは脳を摘出され、保存ボックスに入れられており、やがて冥王星へと連れ去られるのでしょう。
ちょっと笑ってしまうところもありましたが、舞台が山奥の一軒家に移ってからの生々しい不気味さは本物です。
宇宙人ってイヤーね!






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