【ネタバレ】映画「荒野の用心棒」

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荒野をさすらう口笛とともに、マカロニがやって来た!

以前、2ちゃんねるのとあるスレで、「時代劇の音楽ラテン系の曲が多いのに、違和感を感じないのはなぜ?」というような書き込みがありましたが、その答こそ本作「荒野の用心棒」であります。
「スペインやイタリアの南部には、アメリカの荒野っぽい風景がある。ここで西部劇の撮影をすれば、アメリカより人件費安いし、いいんじゃね?」という経済的な理由から製作が始まったイタリア製西部劇
本作以前にも「赤い砂の決闘」など数作あるようですが、監督セルジオ・レオーネ、音楽エンニオ・モリコーネというコンビ(2人はローマの小学校で同級生だったそうです)による本作こそ、マカロニ・ウエスタンという独自のジャンルを打ち立てた大名作であります。
名作ではありますが・・・ 黒澤監督「用心棒」パクリンコしちゃったんですねえ。
両作品を比べてみると、かなり細かい点までパクリコン・ワンしてまして、訴えられて敗訴するのもやむなし・・・
レオーネ監督としては、「荒野の7人」のように黒澤作品を西部劇に翻案するつもりだったのかもしれませんが、オリジナル製作者の許諾を取らないとイカンでしょ。
昔のイタリア人の著作権に対する意識は、現代の中国人並みじゃな・・・
本作で世界的スターとなったクリント・イーストウッドは、黒澤監督と日本に対して申し訳ない気持ちをずっと持っていたようで、それが自身の監督作「硫黄島からの手紙」製作の動機の1つとなったらしいよ。

という次第なのですが、時代劇をパクッたことにより、本作から始まるマカロニ・ウエスタンというジャンルには、時代劇の血が、日本の血が流れることになったんじゃよ。
物語の舞台がアメリカであっても、我々が鑑賞するのはイタリア+日本の混血の文化、これがまた非常に相性良く融合されましたのじゃ。
セルジオ・レオーネ監督は後の作品になるほど(大作になるほど)アメリカ指向を強めていきますが、レオーネの後を継ぐ「第2のセルジオ」ことセルジオ・コルブッチをはじめ、後継者たちほど時代劇テイストが濃くなっていくのだから、もう日本人の感性にジャストフィット、日本人ハマリまくりました。
マカロニの影響が日本のコンテンツで濃厚になってくるのは、70年代に入ってから。
70年代「マカロニ時代」といえるほど、マカロニは日本人の魂の一部と化していきます。
「アップになった眼の中で炎が燃える」のも、「夕日に向かって走る」のも、ヒーロー番組の音楽が「燃える音楽」なのも、破れたジーンズ汚れた服がカッコいいのも、すべてマカロニ・ウエスタンの影響・・・ というのは言い過ぎでしょうか?
いえいえ、70年代に子供時代や青春時代を過ごした人の魂の奥底には、さすらいの口笛が、夕陽に鳴り響くトランペットの音が、必ずや流れているのです・・・
ま、そういうわけでアニメ・特撮・刑事ドラマそして時代劇マカロニの洗礼をドップリと受けまして、特に時代劇では「座頭市」「木枯し紋次郎」「必殺仕掛人」「子連れ狼」といったマカロニ時代劇の名作が続々作られましたのさ。
「鬼平犯科帳」のエンディングがジプシー・キングスでも違和感ないのは、そういう流れがあるからなのさ。

前置が長くなりましたが、ネタバレのあらすじを。
メキシコ国境に近い、アメリカのとある村に流れ者クリント・イーストウッドが現れる。
酒場のオッサンの話によると、この村では凶悪メキシコ系ギャング一家冷血白人保安官一家が鋭く対立している。
両者を争わせ、壊滅させて金儲けしようと企むイーストウッドは、保安官一家の下っ端をバババとブッ殺して、メキシコ一家に取り入る。
その裏で、保安官一家に情報を流しながら対立を煽るのだった。
両勢力の全面対決の結果、保安官一家は皆殺し。
メキシコ一家の危険な男、ラモンジャン・マリア・ヴォロンテ)は、イーストウッドの目的を以前から疑っていた。
ラモンに無理やり愛人にされた不幸な女を、見かねたイーストウッドが逃がしてやったことから全てが発覚、捕われて拷問を受けるハメに。
葬儀屋の協力で辛くも脱出したイーストウッドは、ライフルの名手ラモンに対抗するため、切断した鉄板をポンチョの内側、心臓の高さに吊るし、最後の決闘に臨む。
イーストウッドの心臓に何発撃ちこんでも立ち上がってくるので、汗ダラダラになって焦るラモン、全弾撃ち終わったところで鉄板をズシリと落とし、種明かしするイーストウッド。(「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」で、このシーンをパロッてましたね)
決着は、イーストウッドコルトVSラモンウインチェスター、お互いに1弾だけを装填して早撃ち勝負、ついにラモンは死す。
ジャン・マリア・ヴォロンテ、眼ヂカラがすごい、いい悪役でした。
町に平和をもたらし、イーストウッドは去っていく。

ついでに、黒澤監督「用心棒」に出演していた俳優たち、つまりイーストウッドらにパクられた人々のその後について、少し・・・
まずイーストウッドに相当する主人公の三船敏郎御大は、自分のところのプロダクションで「荒野の素浪人」なるTV時代劇を製作、そのシリーズ第2弾がズバリ「荒野の用心棒」というタイトルのマカロニ時代劇。(渡哲也夏木陽介坂上二郎らが出演、脚本が池田一朗=隆慶一郎、音楽が菊池俊輔・・・ ううっ見たい!)
ラモンに相当する悪役・卯之助を演じた仲代達矢はイタリアに招かれ、マカロニ・ウエスタン「野獣暁に死す」に出演。(しかもラモンと同じメキシコ人ギャングの役)
保安官一家の奥さんに相当する女ボスを演じた山田五十鈴は、後にマカロニ時代劇の代表格「必殺シリーズ」レギュラー出演するのはご存知の通り。
皆さん、たくましくマカロニに便乗してますな。


続編でもなんでもない「続・荒野の用心棒」のエントリーはこちら
http://puripuriouch.at.webry.info/201211/article_4.html











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この記事へのコメント

蟷螂の斧
2019年09月13日 20:52
あうちさん。こんばんは。いつもありがとうございます。

>「時代劇の音楽はラテン系の曲が多いのに、違和感を感じないのはなぜ?」

先日「リンゴ・キッド」で、あうちさんが仰った事を思い出します。

>イタリアというかラテン民族と日本は、映画に限らず、いろいろ感性が似てると思いますね。音楽も演歌っぽいのを好みますしね。

そうです(拍手!)

>マカロニ・ウエスタンというジャンルには、時代劇の血が、日本の血が流れることになったんじゃよ。
>我々が鑑賞するのはイタリア+日本の混血の文化、これがまた非常に相性良く融合されましたのじゃ。

拍手喝采!!
今の若い人たちもマカロニウェスタンの良さを知って欲しいです。
あうち
2019年09月13日 22:19
こんにちわー
いつもコメントありがとうございます。

ほんとにマカロニは日本人の感性にフィットしすぎて、外国映画と言う気がしませんよねえ。
おっしゃる通り、若い世代にも受け継いでいってもらいたいです。(少数ながら若いマカロニ好きもいらっしゃるようですが)
今でも年に1回「必殺スペシャル」が放送されますが、パラパ~というトランペットの響きに「21世紀に生き残ったマカロニ節!」と胸が熱くなります。(話の中身はつまらないので殺しの場面しか見ませんが笑 何せジャニーズばっかり・・・)
蟷螂の斧
2019年09月13日 22:21
>パラパ~というトランペットの響きに「21世紀に生き残ったマカロニ節!」

そう言えばそうです!
そして必殺!の残酷さもマカロニ譲り?
勉強になります。
あうち
2019年09月13日 23:24
必殺の前に木枯し紋次郎が大ヒットして(原作者の笹沢佐保は「続荒野の用心棒」の時代劇版をやろうと思ったと書き残してます)
それに対抗するために「必殺仕掛人」を製作したとプロデューサーが語ってました。
初期必殺はマカロニ濃度高めでしたねー。
パラパーも本来は仕掛人の殺しのテーマです。
蟷螂の斧
2019年09月15日 12:59
あうちさん。こんにちは。昨日随分涼しくなったと思ったら、また今日は猛暑です!
さて、上の方に映っているDVDのパッケージ。手描き。いいですねー!味がありますよ。

>「続荒野の用心棒」の時代劇版をやろうと思った

笹沢佐保先生。ありがとうございます。

>初期必殺はマカロニ濃度高めでしたねー。

緒形拳の表情がいいです!相手に「地獄に落ちろ・・・。」という感じ。
漫画「ブラックエンジェル」は勿論「必殺仕掛人」の影響。
あうち
2019年09月15日 20:49
こんにちわー。
天気予報で名古屋の方は明日、最高気温が35度と言ってました・・・気をつけてください。
こちらも暑かったです・・・

私も緒形拳の殺す時のあの目が、すごくいいと思います!
映画版の「必殺仕掛人・春雪仕掛針」を機会があったらぜひ見てください。
岩下志麻に針を刺す緒形拳の目が最高です!

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