【ネタバレ】「非情の日」 ジャック・ヒギンズ

THE SAVAGE DAY (1972)
Jack Higgins


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非情の北アイルランドに散る、若きテロリストの生き様

真冬の冒険祭り第4弾、ヒギンズ炸裂の名作「非情の日」であります。
先だってイギリスBBC放送の番組で日本大使がインタビューを受け、司会者から「戦争するくらいなら尖閣諸島を中国にあげてしまえばいいのに」なんて言われたそうです。
さっそく2ちゃんねるでは「そんなこと言うならイギリスはフォークランド諸島をアルゼンチンに返してやれ!」という書き込みで盛り上がってましたな。
いや、まずね、フォークランドよりも北アイルランドを返還するべきでしょう、イギリスさん。
かつてイギリスはアイルランド全体を占領していましたが、激しい独立闘争に直面、北アイリランドを除いて独立を認めた歴史があります。
なぜだけ残したかというと、そこにはイギリス本土からプロテスタント系住人が多く移住していたから。(アイルランド人はカトリック)
当然、残ったも取り戻すべく、抵抗組織IRA(アイルランド共和国軍)が武力闘争したり、シン・フェイン党という政党を結成して政治闘争したり、そうしてるうちにIRAの過激派テロに走るようになって、次第に世界では「IRA=テロ組織」という認識になってしまいました。
イギリス人だけどアイルランド生まれのジャック・ヒギンズIRAに大変肩入れしており、この組織出身のさまざまなヒーローたちが彼の作品を彩ってきましたな。
そのヒギンズが、北アイルランドを舞台にIRAを真っ向から取り上げた本作は、地味ながらイブシ銀の輝きを放つ、忘れがたい名作なんですぞ。

アイルランド独立闘士の家系に生まれながらも、かつてはイギリス秘密情報部に所属し、今は武器の運び屋となって世界各地の独立闘争を援助する男、サイモン・ヴォーン
彼は武器密輸の罪状でイギリスで逮捕されたが、ヒギンズ作品でおなじみファーガスン代将情報部の偉い人)が、協力すれば釈放してやるともちかける。
輸送中の金塊IRAに奪われ、彼らはそれを資金に、武器商人マイヤーから対戦車ライフルをはじめとする高性能兵器類を仕入れようとしているのだ。
マイヤーが通報してくれたおかげで情報部の知るところとなったが、ヴォーンマイヤーの代理人のふりをしてIRAと接触、金塊のありかを突きとめねばならない。

毎夜銃声が絶えることのない危険な街、北アイルランド首都ベスファルト
とあるパブでヴォーンは、IRA幹部である美しき女医ノラと、その用心棒で死神のような黒いコートをまとった若者ビニーと会う。
まだ少年といえるくらいの年齢ながらIRA最強のガンマンであるビニー、だが罪無き者を巻きこむ無差別テロを憎悪する、心優しい弱者の味方なのだ。
武器引き渡しの打ち合わせの後、通りに出た彼らは、通行人の少女を犠牲にした爆弾テロに遭遇。
怒りを剥き出しにするビニー、だがテロの犯人も同じIRAの仲間であり、身内同士の争いは許されない。
そんなビニーに代わって、クールを装いながらも、こっそりとテロ犯を始末するヴォーンがカッコいい!

が、クルーザー武器を積んで届ける途中、IRA内部の過激派「エリンの息子たち」を率いるフランク・バリーによって武器は奪われてしまう。
このバリーは後の「テロリストに薔薇を」でも悪役として登場しますが、名家に生まれながら殺戮と破壊を好む狂気の美男子、「テロ王子」といった感じの魅力的な敵キャラです。
しかし奪われた武器は、すべて撃針が抜いてあったので使い物にならない。
万が一にそなえてヴォーン撃針だけを別の場所に隠しておいたのだが、バリーの魔手が伸び、まず武器商人マイヤーが殺され、警察に逮捕され護送中だったヴォーン、ノラ、ビニーの3人もバリーの一味に拉致される。
金塊で代金を払うから、撃針を渡してくれ」とヴォーンに契約を迫るバリー
とはいうものの彼は金塊のありかを知らず、知っているのはIRA首領ノラの伯父である「小男」マイケル・コークだけなのだ。
バリーノラを人質に取り、彼女を慕うビニーに「アジトへ戻って、小男から金塊のありかを聞き出してこい」と命じる。
ビニーをサポートするため、ヴォーンも同行することに。

ついにIRAのアジトへ入りこむヴォーンイギリス情報部が血眼になって探す首領マイケル・コークと対面。
穏やかな老人コークは、バリーと直接会って説得しようと決意、一行は再びバリーの城へと車を走らせる。
だがイギリス警察から指名手配されたヴォーンたちは警備網を突破、その銃撃戦で被弾したコークは死亡。
死の間際、ヴォーンだけに金塊の隠し場所を伝える。
それは、とある入り江の海底・・・

相変わらずノラを人質に取られたまま、ヴォーンビニー金塊の引き揚げを命じられる。(入り江に沈めたお宝を引き揚げる場面、ヒギンズ作品で何度も出てきてるような・・・)
引き揚げ完了後、一瞬の隙を突いてバリーの手下どもを葬るヴォーンビニー。(この頃には、2人はすっかり息の合うコンビとなっている)
バリーが待つで、最後の戦いだ。
無事にノラを救出、バリーを追いつめたところで、突然のノラの裏切り
はじめからノラバリーの女であり、武器の引渡し場所マイヤーの居所などの重要情報を流していたのも彼女・・・
思慕する女性の裏切りに呆然となるビニーを冷酷に射殺し、ノラバリーとともに逃走の準備をする。
まだわずかに息のあったビニーが、最後の力を振り絞ってバリーを撃ち(海に落ちて死んだ・・・ と思われたが、「テロリストに薔薇を」で復活)、金塊を積んだクルーザーで1人逃げていくノラ
だが、ノラの裏切りを見抜いていたヴォーンは、あらかじめクルーザー爆薬をセットしておいたので、火柱とともにノラは海のもくずに。
ヒロインが実は悪人だったというパターンもヒギンズ作品で多いですが、今回の裏切りはインパクトあります。
はじめはヴォーンに対抗心を燃やし、しだいに尊敬の目で見るようになり、ついには息の合った相棒になってしまう若きテロリスト、ビニー
最後は独立闘争の英雄の墓の隣に埋められることを望んで、死んでいきます。
こういう若者の死をさんざん見てきたことこそ、ヴォーンIRAを離れた理由であり、ビニーは若き日の理想に燃えていたヴォーンの姿だったんですな・・・

ヴォーンはこの後、「裁きの日」で再び帰ってきます。







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