【ネタバレ】「007/ムーンレイカー」(前編) イアン・フレミング

MOONRAKER (1955)
Ian Fleming



007/ムーンレイカー (創元推理文庫 138-2)
東京創元社
イアン・フレミング

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「美味しんぼ」の元祖?かもしれないグルメ小説

映画版シリーズ第24弾「スペクター」公開が迫る今年。
原作小説も少しはブレイクしてくれるといいなー、という願いをこめて007ジェームズ・ボンドの小説第3作「ムーンレイカー」のレビューをお送りしますぞ。
さして長くもない本作のレビューを前後編に分ける理由、それは・・・
管理人が中学生の頃、もっとも衝撃を受けた小説の1本が本作であり、その衝撃の核心となる前半、ブレイズ・クラブの夜食シーンを特に重点的に解説したいから。

ある日ボンドは上司に呼び出される。
から「ボンド」でなく「ジェームズ」と呼ばれる時は、仕事ではなくプライベートな話なのだ・・・
「あのなあ、ジェームズ。相談があるんけどなあ・・・ 今晩うまい晩メシおごっちゃるけん、ブレイズ・クラブにつき合わんか?」
ブレイズ・クラブ、それはが会員となっている「会員制クラブ」であり、ボンドのお供の時しか入場できない。
ここで大英帝国の遺産、「会員制クラブ」について説明しよう。
クラブといっても踊るところではなく、カードで遊び、ディナーをいただき、酒を飲むという紳士の社交場である。
夜遅くなったら泊まる部屋もあるし、翌朝部屋に届けられる朝刊はアイロンがかけられ折り目なくパリッとしてるほどの、一流ホテルばりのサービスを誇る。
このブレイズ・クラブの描写が傑出しており、「ほわあ。この時代のイギリスに上流階級として生まれてみたかったかも」と思わずにいられない。

の相談とは。
ブレイズ・クラブの会員にヒューゴー・ドラックスという大富豪がいるのだが、どうもカード(ブリッジ)でイカサマをしてるらしい。
証拠はつかんでないし、大金持ちがなぜイカサマなどする必要があるのかも不明だが、明らかに不自然な勝率だし、クラブの支配人も頭を悩ませている。
騒ぎになる前にイカサマの手口を見破り、ドラックスにそれとなく警告してほしいのだ。
というわけでボンドブレイズ・クラブへ!
仕事帰りに上司と飲みに行くノリに近いですが、ゴージャスさが段違い!
まずと打ち合わせしながら夕食を取りますが、ここは食事シーンにまるまる1章を使い、酒と料理を注文するだけで3ページを費やすという凝りよう。

の注文
「ベルギーのキャビア(キャビア・ベルーガの誤訳かしら?)、腎臓の辛子焼きににあのうまいベーコンを一切れ添えて。野菜は豆と新じゃが、それとキルシュ(サクランボ酒)につけたイチゴ(これはデザート?)、さらに給仕のお薦めで牛の脛骨の髄も追加」
ボンドの注文
「スモークサーモンに子羊のカツレツ。野菜は豆と新じゃが、オランダソースをかけたアスパラガス。パイナップルを一切れもらってもいいかな」
腎臓料理というのは「世界の料理ショー」で見たことあるけど、骨髄なんか食えるんか!
トンカツではなく子羊のカツレツとはどんな味?
オランダソースって何?(オランデーズ・ソース
付け合わせの野菜もトッピングみたいに自分で選べるんか!
画像


洋食といえばハンバーグやカレーライスくらいしか思い浮かばない中坊の頃、あまりにもショッキングだったこの場面。
今ならネットでいろいろ調べられますけどねー。
「骨髄料理」で検索すると、あれやこれや出てきますな・・・
相当脂っこいらしい。

続いて「酒係の給仕」グリムリーが登場。
酒専門の給仕なんておるんか!
まだソムリエなんて言葉、誰も知らなかった時代。
ここでは食前酒として自慢のウォッカ「ウォルフシュミット」を注文。
おや。ウォルフシュミットで検索してみると、意外と安いですぞ。
ラトビアで創業し、ロマノフ王朝御用達だったウォッカですが、が注文したのは「リガ(ラトビア首都)から取り寄せた戦前の本物のウォルフシュミット」だそうで。(今のは偽物なのか?)
食事に合わせる酒は、クラレットの小瓶(ムートン・ロートシルト34年物)。
クラレットとはボルドー産ワインのこと、ムートン・ロートシルトはボルドーのポイヤック村にある有名シャトー。
ボンドはシャンパン、銘柄はグリムリーにまかせる。
「僭越でございますが、ドン・ペリニョンの46年がいかがかと思います」
この時、初めてドンペリというものを知った!

ところでスモークサーモンはスコットランドのハイランド地方のものがねっとりした舌触りで美味いんだって。
スカンジナビア産のはパサパサしてダメなんだって、ボンドさんが。

さて食事が済むと、カード室でドラックスブリッジでひと勝負。
カード・テーブルに何気なくピカピカのシガレット・ケースを置くドラックス
カードを配る時、カードの裏面をシガレット・ケース表面に反射させ読み取っていたのだ!
トリックを見抜いたボンドは、自分もあらかじめ用意したすり替え用のカードを使ったイカサマで勝利、ドラックスをギャフンと言わせる。
「私だったら、その金はさっさと使っちまうね、ボンド中佐」
捨てゼリフを残し、ドラックスは退場。

さて、この後から本編が始まるのですが、ハッキリ言ってブレイズ・クラブのパートほど面白くはない。
続きは後編で!

後編はこちら
http://puripuriouch.at.webry.info/201505/article_1.html











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この記事へのコメント

ナッシュ
2017年04月25日 12:03
こんにちはナッシュです。

ドラックスの捨て台詞、映画「オクトパシー」でカマル カーンが言ってましたねぇ。

原作本読んだけど忘れちゃいました(汗)。
あうち
2017年04月25日 21:51
いつもコメントありがとうございます!

あ、そうか、どこかで聞いたセルフと思ったら、カマル・カーンか・・・
まもなく日本でカジノ解禁になったら、このセリフ言ってみたいですねえ
蟷螂の斧
2019年10月05日 04:08
おはようございます。
先日、「カジノロワイヤル」「死ぬのは奴らだ」「ムーンレイカー」の三部作が収録されたペーパーバックの洋書漫画を購入しました。

>カードの裏面をシガレット・ケース表面に反射させ読み取っていたのだ!

この場面も読みました。
セコイいかさまですね(笑)。

>左ピッチャーは右打者に対してアウトからインに入るようなコースになるのでバッターは打ちにくいんですよね。

テニスや卓球でも左利きの人のサーブは返し難いそうです。
あうち
2019年10月05日 11:44
そういえば海外でも漫画版があるんですよね。
しかし「さいとうたかお」の方が上でしょう笑

たしかに鏡みたいにピカピカ反射する物をテーブルに置いたらバレそうですけどねー。

右打者が左ピッチャーに対する場合、バッターボックスのギリギリ一番前まで出て、まだボールがアウトよりにあるうちに叩く、という作戦はどうでしょう。
あるいはバッターボックスのギリギリ外側よりに立って、ボールがインに入ってくるとバッターにとってちょうどド真ん中、みたいな・・・
蟷螂の斧
2019年10月06日 03:09
さいとうたかを先生の007もいいですね。「女王陛下の007」は映画とは違うラストでした。

>「私だったら、その金はさっさと使っちまうね、ボンド中佐」

僕も「オクトパシー」を思い出しました。
勝負に負けたカマル・カーン(ルイ・ジュールダン)のムッとした顔。

>バッターボックスのギリギリ一番前まで出て
>バッターボックスのギリギリ外側よりに立って

良い作戦だと思いますよ。
左利きのアンダースローだと、もっと打ち難いというのも野球漫画で読んだ記憶があります。
あうち
2019年10月06日 11:04
さいとう版の女王陛下はハッピーエンドだったんですかね?

まもなく日本にもカジノができるので、負けた時に言ってみたいですね!>「私だったら、その金はさっさと使っちまうね」

アンダースローは下から上に来るのか・・・
左のアンダーは最悪ですね!
心を無にして打つしかない!

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