【ネタバレ】「ランゴリアーズ」 スティーブン・キング

THE LANGOLIERS (1990)
Stephen King



ランゴリアーズ (文春文庫―Four past midnight)
文藝春秋
スティーヴン・キング

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なんということでしょう飛行機が大変なことに

「ミスト」に匹敵するキングの異次元パニック・ホラー小説!
久しぶりに、読み始めたら止まらない経験をしました。
映画版は見てないのですが、CGがひどい割に評価がまあまあいいようです。
それもやっぱり原作のストーリーがあってこそ。
キングの小説はとにかく長い、日常描写がくどい、といった難点があるのですが、本作はまあ常識的な長さの長編で読みやすい。
でもこれ、キングにとっては「中編」なんだって・・・うげうげ。

深夜便の旅客機。
疲れて寝こんでいた主人公が目を開けると、なんとビックリ、ひとにぎりの乗客を除いて、ほとんどすべての乗客が消えている
後で判明するが、客室乗務員もコクピットのクルーも消滅、完全に自動操縦で飛んでいるのだ。
まず、この異常な状況にガッとつかまれてしまいます。
こういう状況作りのうまさがベストセラーを生み出す秘訣やなー。
もしや寝てる間に1回着陸して乗客を降ろしたのだろうか?
いやいやいや・・・・
先にネタバレすると、時空の狭間のようなところに入りこんでしまった旅客機、異次元のゲートを通過する際の不思議な光を見てしまった人間は「存在そのものがなかった」ことに・・・
熟睡していて光を見なかった数名だけが、消えずに助かったのである。
しかしパイロットがいないのだから、どのみち助からないところですが・・・

ではここで、熟睡していて助かったイカれたメンバーを紹介しよう。
1、たまたま偶然ひょっこりと私用で乗客として乗っていたパイロット
ほーらやっぱり出た!
ちゃんとパイロットが生き残ってたよ!
このご都合主義をどうやってごまかすか、作家の腕の見せどころ。
2、なんでもできる頼りになるタフガイ、正体は秘密工作員
3、ミステリー作家、何が起きたのか、どうやれば帰還できるのか推理する
4、盲目の少女、聴覚が鋭いだけでなく人を操る超能力がある
なにこれ・・・ これはチートでしょう・・・
これだけのメンバーがそろっていれば、どんなピンチからでも生還できそう。
その他に勇敢なユダヤ人の若者や優しいお姉さん、ふつうの人、使えない人、ずっと寝てる酔っ払いなどなど・・・
そして「ミスト」ミセス・カーモディに匹敵する、不愉快人物クレイグ・トゥーミー
彼はエリート銀行員ながら、両親に抑圧されて育ったせいで、スーパー身勝手で異常行動をとるモンスター一般人となってしまった。
仲間を1人刺殺し、さらに盲目少女も死に追いやる結果に。

旅客機が迷いこんだ世界、そこは一見我々が住む日常となんら変わりない。
だがまるで人類滅亡後の世界のように生命はまったく見当たらず、家の灯りひとつない。
燃料不足のためとある空港に着陸するが、そこもまったく無人、光線から空気感まで何かがちがう。
あれこれ考察した結果、ここは「終わった時間の世界」ではないか、という結論に。
世界とは時間に乗ってよどみなく流れるものではなく、一瞬一瞬ごとに世界は新たに生まれ、そして滅びていく・・・ 人間の意識は次々と生まれる世界を飛び渡っていくものらしい。(なかなかおもしろい世界観)
そして彼らが今いる世界は、すでに役目を終えてこれから消滅する運命の、何もかもが死んだ世界なのだ。
だが世界はどうやって消滅するのか?
それは・・・

「ランゴリアーズがやってくる!」
ランゴリアーズ、それは迷惑男トゥーミーが幼少の頃、勉強を怠けると両親から「ランゴリアーズに食われてしまうぞー」と脅された、世界を食いつくす怪物。
黒い球体で牙の生えた口がシンプルなデザインながら、無数の群れとなって現れ、あらゆる物をすごいスピードで食らう。
食われた後は何もない暗黒の空間となるのだ!
思うにこれは、生物というより宇宙の仕組みの一部で、不要になった世界を処分するシュレッダーのようなものではないでしょうか。
そしてたぶん「ジョジョの奇妙な冒険・第3部」に登場するヴァニラ・アイスのスタンドの元ネタでは?

盲目少女が超能力でトゥーミーを操り、囮としてランゴリアーズを引きつけてる間に、他のメンバーは給油の済んだ旅客機に乗りこんでテイク・オフ。
だが少女トゥーミーに刺されていたので間もなく死亡。
ミステリー作家の建てたプランでは、異次元ゲートがまだ残ってれば、そこを通過して元の世界に戻れるはずで、自動操縦装置にインプットされたコースを逆にたどれば、ゲートのある空域にたどり着くはず。
が、しかし・・・ ひとつ落とし穴がある。
目覚めたままゲートを通過すれば、生き残ったメンバーも消滅してしまうのでは?
といって睡眠薬もないのに、どうやって全員を眠らせる?
眠ったとしてもパイロットはすぐに目覚めないと、居眠り運転で大事故だ。
この難問は秘密工作員が自らを犠牲にすることにより解決した。
彼が副操縦席につき、酸素マスクを装着。
そして機内の酸素をストップ・・・ これにより、彼以外の全員が意識を失う。
眼前には壮麗な輝きに包まれたゲートが見えてきた!
とっさに酸素のスイッチを入れ、直後に秘密工作員は消滅。
ゲートを抜けたところでパイロットの意識が戻り、操縦を受け継ぐ。
こうして無事に空港に着陸した旅客機、めでたしめでたし・・・
ではなかった!

ゲートを抜けて元の世界に戻ったはずなのに、ここもちがう世界だった!
この空港もまったく無人で、命からがら脱出した「時間の終わった世界」とまるで同じ・・・ ように見えるが、何かちがう・・・
空気には期待感のようなザワザワした、ワクワクするものがある・・・
ここは「これから時間の生まれてくる世界」だった!
一瞬にして世界は色づき、生命が満ちあふれた!
彼らが立っているのは混雑した空港のターミナル。
ここはちょっと感動的な場面。
こうして彼らは、もとの世界へと帰還したのだー。
浮かれ騒ぐ彼らを群衆は珍奇の眼で見る。
正真正銘のハッピーエンドです、少女は死んだけどな。



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