【ネタバレ】「あるスパイへの墓碑銘」エリック・アンブラー

EPITAPH FOR A SPY (1938)
Eric Ambler


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わーいアンブラーのスパイ小説やっと見つけたー

ル・カレの大先輩ともいえるスパイ小説の大家エリック・アンブラー
日本では現在、全作品が絶版となっておりますが、ブックオフに通ってようやく1冊ゲット。
なんかカッコいいタイトルですが、内容はそれほどスパイではなく、かぎりなくミステリーに近い。

第1次世界大戦が終結してしばらくのころ。
主人公ジョセフ・バダシーは大変複雑な背景があった。
ハンガリー生まれなのだが、祖国はユーゴだかに侵攻されて消滅してしまい、ユーゴ国籍も与えられないまま「無国籍人間」となってパリで語学教師をしている。
家族も友人もいない孤独な青年ながら、まじめに働いて小金もたまったか、ライカのカメラも買ったし、今年の夏休みは南フランスのリゾートで過ごすことに。
それにしても「お1人様」で海辺のリゾートなんてハードル高いなあ・・・
案の定恋人同士や夫婦が多いが、意外にも他にも一人者がチラホラいる。
買ったばかりのライカで写真を撮りまくり、現像に出してみたら・・・ なんと警察に逮捕されてしまった!
彼のフィルムには、付近の軍港トゥーロンで撮影されたフランス艦艇の詳細な写真が一部、含まれていたのである。
「軍艦の写真なんか撮ってないでー」
無実を主張するバダシー
彼を担当するベガン警部も、「確かにあんたはスパイにしてはトロい感じですなー」
考えられる可能性として、スパイもバダシーと同じライカのカメラを使っていた・・・
そしてどこかで、バダシーがまちがえてスパイのカメラを持ってきてしまった・・・
「あーそれやー。シリアルナンバーが手帳に控えてあるぼくのライカのとちがうし」
もしまちがえたとしたら、その場所は今泊まってるリゾートホテルにちがいない。
宿泊客の中にスパイがいるはず!
そしてあんたが持ってるライカを取り戻そうと狙ってるはず・・・

バダシーは警部から、ある要求を突きつけられる。
今すぐ釈放するからホテルに戻って、スパイが誰なのか突きとめること。
もし拒否すれば、あんたを国外追放にします。
もし追放にされれば、祖国のないバダシーにはまったく行くところがない。
とんでもない無茶ぶりだが、選択権のないバダシーはホテルに戻って素人探偵にいそしむのだった。
まったく普通の青年であるバダシー、だが彼には優れた語学能力があり、それを使ってスパイを追いつめるのか?
と思ったが、そういうわけでもなく、ドジと失敗ばかり。
まあ素人だから仕方ないが。
宿泊客も、兄妹のフリをして実は駆け落ち中のアメリカ人カップル、身分を隠してナチスから逃げてるユダヤ人、彼を追ってるドイツ情報部員、頭のおかしいイギリス人、態度の悪いフランス人など曲者ばかり。
そういった中をコミュニケーション能力に乏しい主人公バダシーは右往左往、真犯人に頭を殴られたり、ライカを奪われたり、無関係な人の部屋に侵入したり、あげくは再び警察の厄介となり、ベガン警部の元へ。

「この役立たず!」と怒られるかと思いきや、すべては警部の狙い通りだったのだ。
実は警部、スパイの正体を初めからつかんでいた!
しかしスパイ組織が最近、新しい拠点をトゥーロンに設けたという情報をつかんだため、スパイをホテルから追い出し、尾行してその拠点を突きとめようと、バダシーを利用してホテル内に騒ぎを起こしたのである。
「今からスパイを逮捕に行くでー。いっしょに来い」
態度の悪いフランス人宿泊客ルウ、彼こそがスパイだった。(雇い主はイタリア政府、第2次大戦前夜なのでドイツとイタリアが悪者)
しかし彼は小物に過ぎず、トゥーロンの倉庫街にある隠れ家に、さらにスパイがウジャウジャといて、一網打尽。
ルウは逃亡するが、撃たれて転落死。

警察に協力したバダシーは、めでたくフランス政府から市民権を与えられるのであった、めでたしめでたし。
ところで本編とは関係ないのですが、創元推理文庫の本、印刷状態がかなり悪いんだけど・・・
活字がだいぶすり減ってるようですが?











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