【ネタバレ】「タイトロープ・マン」 デズモンド・バグリイ

THE TIGHTROPE MEN (1973)
Desmond Bagley


画像



目が覚めたら主人公は虫に・・・ じゃなくてオッサンになっていた!

スパイ小説ネタバレ、続きましては英国冒険小説四天王の1人、デズモンド・バグリイの究極の巻きこまれサスペンス「タイトロープ・マン」であります。
主人公デニスンがある朝目を覚ますと・・・ まったく見知らぬホテルのベッドの上。
しかも鏡を見ると、見たこともないブヨブヨしたオッサンが映っている!
さらに自分の過去も名前以外、どうもハッキリ思い出せない・・・
という異常な状況にガッチリつかまれます。
冷静になって調べてみると、今いる場所は北欧ノルウェイ、パスポートなどから判断すると自分はハロルド・メイリック博士なる人物らしい。
よーく見ると顔には整形手術の跡が見えるので、何者かに拉致されて、まったくちがう人物に仕立て上げられたようだ。
思い切って外に出てみると、怪しい女から接触されたり、どう見てもカタギじゃなさそうな連中に追われてカーチェイスしたり。

ようやく英国情報部に保護されたデニスンは、正直にすべて打ち明ける。
情報部の幹部職員ケアリーはビックリ、まさにこれから彼らはメイリック博士と共同で、ある重要な作戦を行う予定だったからだ。
本物の博士は何者かに殺害されたっぽい。(それらしき水死体が上がっている)
その殺人の黒幕こそがデニスン博士に仕立て上げたのだろうが、その目的は一体何か?
ちなみに博士を追っているソ連のKGBはデニスン博士だと信じこんでいるので、彼らが犯人ではない。
デニスン、悪いけど、もうしばらくメイリック博士を演じていてくれまいか」とケアリーの提案。
「冗談でしょ、早く元の自分に戻してやー(記憶が欠落してるけど)」と怒るデニスンだが、ここは情報部の言うとおりにするしか選択肢がない。
博士の娘リンも現れ、「いつもの父さんとちがうわねー」といぶかりながらも、デニスンと行動を共にすることに。

さて、北欧のフィンランドと隣り合うソ連のカレリア地方は、もともと同じ民族、同じ文化の国だったが、ソ連の侵攻によって分断されてしまった。
メイリック博士はこの地方の出身であり、後にイギリスへ移住した。
ノーベル賞を受賞してもおかしくないくらい優秀な物理学者であり、コンコルドやチーフテン戦車にも彼の発明した電子部品が使われているそうだ。
そんな彼の父親も物理学者だったが、ある時すごい発見(X線レーザー)をして、その論文を書いたあたりでソ連軍が侵攻してきたので、論文を缶に入れて庭に埋めた。
そして、そのまま忘れ去られ・・・
後年、ふとしたことで思い出すメイリック
「あーそういえば親父のあの論文、まだ庭に埋まってるかのー。あれが手に入ればX線を反射させる技術が開発できて、大儲けできるわー」
軍事的にも重要な技術であり、英国情報部に相談した結果・・・
「じゃ、昔あんたの家があったところに行って、庭から『お宝』を掘り出しますかー」
しかし正体不明の敵によって博士は殺され、代わりにデニスン博士のポジションに置かれた・・・

ケアリーの新たな計画はこんな感じ。
デニスンメイリック博士のふりをしたままリンとともに、フィンランド奥地の湖沼地帯を探索する。
もちろんケアリーの部下が護衛として同行。
KGBも博士の後をひそかに追跡するだろう。
彼らは「博士の父がどこに論文を埋めたのか」は知らない。
「フィンランドの沼地に隠してある『お宝』を博士が掘り出しに行く」と思いこんで、猟犬のように執拗に追ってくるはずだ。
あ、KGBとひとまとめにしてるけど、CIAとかチェコ情報部もからんで、かなり複雑。
そして正体不明の敵も、メイリック博士をすり替えたはずなのに、何事もなかったように作戦が進行してるのを見て、「一体どうなってんじゃー」とアセりまくるにちがいない。
こうして森と湖と湿地の広がるフィンランド北部での、スリリングな追跡戦が始まる。


デニスンのチームがKGBを引き付けてる間に、ケアリーはソ連領カレリアに潜入、ハラハラドキドキの連続の末、かつて博士の生家があった場所から、無事に論文の入った缶を掘り出し脱出。
デニスンたちも武装した敵に追われて右往左往、猟師小屋に隠してあった対戦車ライフルのようにデカい、ボートに装着して撃つ「バント・ガン」というジャンボ猟銃で、見事に敵を撃退。
バグリイの小説はこういう変わった武器の登場が楽しみの一つですな。

こうして作戦は無事に終了したかに見えたが・・・
せっかく回収した論文のコピーを、なんとソ連側に渡してしまうケアリー
それを目撃したデニスンと我々読者は、ケアリー=ソ連のスパイと思いこんでしまうが・・・ そうではなかった。
冷戦という、いつ核戦争が起こっても不思議でない、危険な時代。
すべての人類は、危うい綱渡り(タイトロープ)をして毎日を生きているのだ。(原題は「タイトロープ・メン」であり、デニスンのみならず世界中すべての人々のことを指していたのだ)
なので東西の軍事バランスを崩しかねない論文は、ソ連側にも渡しておくのだ・・・
こうやって第3次世界大戦が起きないよう、危険な綱渡りを続けるのだ・・・
なるほど、なるほど・・・ んなアホな。

んで結局、「正体不明の敵」とは何者だったのか。
ケアリーの上司である情報部の長リング卿の政敵、英国政府高官ソーントンの一味だったようだ。
なぜデニスンメイリックに仕立て上げたのか?
この核心部分をあまり詳しく書いてなかったような気がするが、論文をゲットした後に「リング卿ケアリーメイリック博士を死なせ、一般人であるデニスンを巻きこんでヒドイ目に合わせた」と暴き立て、リング卿を失脚させ、さらに現政権を解散させるっぽいようなことを言ってたような・・・

デニスンの正体は小さな映像会社で働いていた映像作家であり、たまたまメイリック博士に近い姿形で似せやすいという理由で選ばれたようだ。
整形手術で元の姿に戻ったデニスン、無事にリンと結婚することになってめでたしめでたし。
もちろん今回の事件で体験したことは、一切口外することは許されない。
ソーントンデニスンの「変身」に関わっていた証拠を握ったケアリー、この悪党を逮捕することは難しいが、一切口をつぐんで情報部の仕事を邪魔させないことはできる。
「正義はどこにあるのか」と嘆く部下に、「そんなもん期待するなよー。いいんだよ、これで」とケアリー
いいのか?それで・・・



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