【ネタバレ】「蒼い氷壁」ハモンド・イネス

BLUE ICE (1948)
Hammond Innes


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海に山に、死んだ男を追ってチョーたいへん

英国冒険小説界の長老ハモンド・イネスも、当ブログではようやく5冊目。
本国イギリスではアガサ・クリスティーに並ぶ国民的作家というのは本当なのかしら?
日本では全作品絶版となり、入手困難です。
管理人もブックオフでだいぶ集めましたが、あと「北海の星」「大氷原の嵐」「失われた火山島」「メリー・ディア号の遭難」あたりが見つかりません。
どれも面白そうな傑作、とくに「メリー・ディア号」は映画化もされたイネスのもっともメジャーな作品、なんとしても手に入れたい!(昔もってたんだけど、例によって売り払い)
ま、気長に少しずつ・・・ どうせイネスはアクセス数も伸びないし、あわてない、あわてない・・・

主人公の鉱山技師ガンサートは、若くして退職、ヨットで地中海周遊を楽しむぜウホーイ
だが出港間際、やめたはずの鉱山会社の上司が現れ、「予定を変更してノルウェーに向かってほしい」
上司がガンサートに見せたのは、なんたらトリウムという産業界に革命をもたらすチョー貴重な金属のサンプルだった。
ロンドンの魚市場に届いた鯨肉の中から、手紙といっしょにサンプルが発見されたのだ。
手紙には伝説の山師ファーネルの署名が・・・ 彼は2週間前、ノルウェーの山中でなんたらトリウムの鉱脈を発見し、そして死んだ。
彼が発見した鉱脈がどこにあるのか、ノルウェーで調べるのだ、ガンサート
ファーネルの友人だった主人公は、彼の死の真相を突きとめたい気持ちから、この任務を引き受ける。
そして噂を聞きつけ、ライバルの鉱山会社社長ファーネルの恋人ファーネルに自分の無実を証言してもらいたい者など、わらわらと集まってきてガンサートのヨットに乗りこむことに。

常に自分で体験してから書く作家イネス、ヨットでの航海やノルウェーの捕鯨基地の描写が素晴らしい。
あまり知られていないが、ノルウェーもフランス同様、戦時中はナチスドイツに占領されていた。
その当時の暗い影が、物語に登場するノルウェー人たちの人間関係をギスギスさせる。
ファーネルが死んだ時、いっしょにいたシュラウダーという男。
戦争中はナチスに協力していたシュラウダー、彼はファーネルの死について真相を知っているだろうし、あるいは彼が殺したのかもしれない。
捕鯨船でイギリスに渡ろうとしたシュラウダーは船長に捕らわれるが、海中に飛びこんで姿を消した。
シュラウダーをライバル会社より先に見つけ出し、捕まえるんだ!
その前に、ファーネルが葬られた小さな村に立ちよる主人公一行、夜中にこっそり墓を暴いてみると、死体はファーネルじゃない・・・ シュラウダーだ!
ファーネルシュラウダーを殺し、シュラウダーに成りすまして逃走したのだ!

先にネタバレをしておくと、ファーネルなんとかトリウムのサンプルと手紙を送った相手は恋人ジル。(だが鯨の血で宛先が読み取れなくなってしまったうえに、鉱山会社に先に奪われてしまった)
鉱山に取りつかれた男ファーネルにとっては、恋人さえも利用するための道具でしかない。
シュラウダーは祖国に対する裏切り者だし、鉱脈を自分で独占するためにも生かしておけなかった。
今はシュラウダーに化けたファーネル、皮肉にもファーネル殺しの犯人としてノルウェー警察に追われる身に。
なんとしても国外に脱出、鉱山会社とは契約せずに、自らの力だけで舞い戻って発掘するつもりだ。(そんなの無理でしょ・・・)

クライマックスは、海から一転、ノルウェーの山登り。
地元民の案内で、24時間連続ののハードな登山とスキーを繰り返しファーネルを追う主人公ガンサート
ここも読むだけで疲れる、実体験をしたイネスならではの大冒険描写だ。
ラスト、鉄道の通る村へと下山してくる主人公、ファーネルは目の前だ。
だが鉄道駅には警察がびっしり・・・ ファーネルはどうするつもりなのか?
なんとスキーで山の斜面を滑って、列車の屋根へとジャンプするという、007のようなアクションにチャレンジ。
だが失敗、雪の壁と列車に挟まれ重傷。
もう1人、戦争中ナチに協力したと噂を立てられた男ダーレルが、ファーネルに証言してもらおうと執拗に追ってきたが、スキーで滑って線路に転落、列車に轢かれてペシャンコ。
いつものイネスらしくない、血生臭い結末です。
死の間際、ファーネルは主人公になんとかトリウムの鉱脈の場所を教える。
それは彼らの目の前、「ブルーアイス」と呼ばれる大氷塊の下にあるのだ。

ヨットと鉱山という意外な取り合わせですが、じゅうぶん冒険気分を満喫できました。
いつかヨットの操縦してみたいなー。(それができないので、こういう小説を読んでいるのです)











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