【ネタバレ】 「シャドー81」 ルシアン・ネイハム

SHADOW 81 (1975)
Lucien Nahum



シャドー81 (ハヤカワ文庫NV)
早川書房
ルシアン ネイハム

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飛行機乗りだから考えついた新手のハイジャック

街がクリスマス一色で気持ち悪い!
なんなの、クリスマスって一体・・・
さて、日本の読書界で大絶賛されている「シャドー81」を初めて読んでみました。
正直イマイチかなー、決してつまらなくはない、むしろ面白いんですけど、多くの方が「絶対読んだ方がいい!」と騒いでるほどでは・・・
案の定、本国アメリカでは大して売れず、これがデビュー作のルシアン・ネイハム、一作だけで小説家を引退することとなりました。
2作目・3作目と続けていけば、もっと良い作家になりそうな感じもするのに、ちょっと残念です。
では、感想をはさみつつネタバレを・・・

時はベトナム戦争も終盤のころ。
新型戦闘爆撃機TX75E(滑走路が不要な垂直離着陸タイプで飛行時間が長い。たぶん架空の機体)の編隊が敵地を攻撃中・・・
1機のTXが事故ったか攻撃を受けたか、パイロットのグラントともども行方不明となった。
司令官のエンコ将軍は徹底した捜索を指示するが、自身は重要な会議があるので、いったんアメリカ本国に戻らねばならない。
「では私は会議に向かうが、なんとしてもTXグラントを見つけ出せよ、部下たち。TXはまだ極秘の新型機なのだから、敵の手に渡ったら大変だわー」
そしてTX75Eエンコ将軍が開発に深く関わった機体でもあるのだ。
が、いくら捜索しても機体もグラントも、この世界から消えてしまったかのようだ。
それもそのはず・・・ そのころグラントは事前に用意した改造船にTXを積んで、はるかアメリカを目指していたのだから・・・

多くの方も書いてますように、この「事前準備」の段階が長い!
物語全体の1/3くらいあってダラダラと感じる。
アメリカ付近の小島に潜伏していたグラントTX、ついに飛び立ってホノルル行きのジャンボ旅客機の後ろにピタリとつける。
「今、そちらの機体をミサイルで狙っているぞ!」
そう、これは新手のハイジャック・・・ ここから面白さがグングン加速していきます。
作者がパイロットの資格を持っているので、飛行機の描写が詳細でリアル。
やっぱり船や飛行機は素人には書ききれないわー。

犯人(グラント)の指示により、同じ空域をぐるぐる旋回する旅客機。
その間に当局は、犯人が要求する身代金を用意しなければならない・・・
要求その1、制限時間以内に、フォートノックス金貯蔵所から莫大な金塊をロサンゼルス空港まで取り寄せろ!
出ましたフォートノックス笑、といえば「007ゴールドフィンガー」ですが、その主題歌が合図用のサインとして使われます。
しかし犯人は、どうやって莫大な金塊を運び出そうというのか?
要求その2、ウイッジョンという旧式の水陸両用機を1機、ロサンゼルス空港に用意しておけ。
これで金塊を運ぼうというつもりか?
しかしとても全部は詰みこめないし、スピードも遅くて逃げきれるとは思えない・・・
要求その3、これが一番奇怪な要求だが・・・
犯人の仲間がロサンゼルスのある銀行の前に現れるから、警官隊と護送車を用意しておくように。
その仲間は全身にダイナマイトを巻いているし、もし私(グラント)と連絡が取れなくなったら即座に旅客機を撃墜する!
現場に現れた「犯人の仲間」とは・・・ サンタクロースのコスプレをした人物。
警官隊を率いて堂々と銀行から金を奪い、護送車に詰みこむ。
警察は今のところ犯人とその仲間に従うしかない。
その後もサンタクロースは次々と市内の銀行や宝石店を襲い(警察の護衛付きで)、護送車をお宝でパンパンにした後、ロサンゼルス空港へと向かう。
ここが本作で一番ケッサクな部分でしょうな。

空港でサンタクロースは、当局が苦労して調達したウイッジョン水陸両用機に金や宝石を詰みこむ。
犯人たちが真に狙う獲物はこれだった。
フォートノックスからの金塊は軍や警察の注意を引きつけるオトリにすぎなかった!(それでも金塊も少しは積みこむ)
空港から飛び立つウイッジョン
グラントの命令により指定された範囲の領域では、ウイッジョン以外の航空機・船舶は一切動かしてはならない。
やがて監視レーダーの範囲外に出たウイッジョンは着水。(こうなるとレーダーには映らない)
操縦するサンタクロースの正体はエンコ将軍!(これはけっこう意外だった)
ウイッジョンを要求したのは、単にエンコがその型の操縦に慣れていたから。
旅客機を解放して離脱したグラントTXを海中に沈め、エンコと合流。
奪い取った膨大なお宝をビニール袋に入れ、とある小島付近の海底に沈める。

この後、グラントエンコが揉めたり、グラントのアリバイを作るためベトナム軍の捕虜になったり、この先どうなるんじゃー?と気になるところですが・・・
戦争が終わり、無事に釈放され帰国したグラントエンコと落ち合い、海底に沈めたお宝を回収に行くところで物語はエンド。
え?これでおしまい?
2人の犯罪は結局成功したのか?
いや、しかしエンコが犯したひとつのミスから犯行が露見しそうな気配もあるし・・・
このモヤモヤした終わり方、なんかイヤー!
ダラダラした序盤とスッキリしない結末が、せっかくの面白い物語を台無しにしてるような・・・











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