【ネタバレ】 「最後の検査」 デ・カストロ&ラヴクラフト

THE LAST TEST (1927)
Adolphe Danziger De Castro & Howard Phillips Lovecraft



ラヴクラフト全集〈別巻上〉 (創元推理文庫)
東京創元社
H.P. ラヴクラフト

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★登場する怪物★ アトランティスから来たる人間ではないもの

今回で全集別巻(上)の作品はコンプリート、次回から(下)に入ります。
「電気処刑器」デ・カストロと再び手を組んだ本作は、ラヴ先生単独作品ではまったく見ることのできない恋愛描写が新鮮ですが、こういう作品に恋愛要素があるとB級感が増し増しだなあ笑
「ホラーに恋愛はいらん」というラヴ先生の方針は、まったく英断だと思われます。(単に恋愛描写が苦手なだけかもしれませんが)

「地球上から熱病を根絶させる」という情熱に燃え、若きクラランダン医師は世界中の熱病発生地をめぐる旅に出る。
アメリカに帰国した時、彼はサハラ砂漠出身のトゥアレグ族と自称する怪人物スラマと、7人のチベット人の召使をともなっていた。
クラランダンの助手を務めるスラマという男、骸骨のように痩せ細り、顔はドクロそのもの、怪しい含み笑いを時折見せるというステキな人、もちろん本作のキーパーソンですぞ。
サンフランシスコ刑務所の医療責任者という役職に就くクラランダン、刑務所内に蔓延しつつある黒死病の治療に専念する。
だが黒死病が刑務所外に漏れるという噂が広まり市がパニックに陥ったり(噂は結局デマだったが)、刑務所病院で患者の扱い方がひどいという訴えがあったり、ついにクラランダンは解任されてしまう。

「これでは実験用の人間が手に入らん!」と興奮するクラランダン。(囚人を実験台にするため刑務所で働いてたみたいです笑)
自宅にある私設の研究所で飼ってる実験動物も、すべて使い果たしてしまった。
さらには7人のチベット人召使も全員実験台となり、こうなったら、あとはを・・・


★衝撃の結末★

「ぐっすり眠れるよう、モルヒネを注射してやろう」
怪しい注射をもってに迫るクラランダン
が、ここでの恋人である州知事がかけつけ、ストップをかける。
「このミラー博士の論文を読んでみろ、クラランダン
知事が手渡す医学雑誌をフンフンと読んでみるクラランダン、ワナワナと震えだし、ついには失神してしまった!
それは本来なら彼が開発するはずだった、黒死病の新しい治療法に関する論文。
意識を取り戻したクラランダンは、すっかり正気に・・・ 他人の立派な成果を目の当たりにして、医学に情熱を燃やしていた昔のクラランダンに戻ったのだ。
そして世界を旅行中に何が起こったのか、知事に語り始める。

現在地球に住んでいる人類が地球最初の人類ではなく、生命もまた地球最初の生命ではない。
現在の全生物の祖先であるアメーバ状の生命が誕生した数十億年前より遥かに昔、すでに地球には別の生命と人間のようなものが栄え、そして滅んだのだ・・・
有名なアトランティス大陸はそういった古々しい時代の文明の中心地であり、大陸そのものは海底に没したが、世界のへき地にはアトランティス植民地の子孫が細々と生きながらえている・・・
トゥアレグ族もそうした太古の人類の子孫であり、ついに発見できなかった黒死病を撲滅する知恵を手に入れるため、トゥアレグの神官に教えを乞うたクラランダン
そして怪人スラマと出会ったのである・・・
スラマが人間なのかどうかもわからないが、彼もクラランダンの科学知識を必要としていたので、お互い協力関係を結んだ。
だが、その時からクラランダンの心は狂気に支配され、実験動物や患者に黒死病の病原菌を注射して、悶え苦しんで死んでいくのを眺めるのが唯一の楽しみとなってしまった。
そして黒死病の起源は地球の外にあり、スラマがもちこんだものなのだ・・・

自ら犯した罪の重さを悟ったクラランダン「最後の検査」と称して、自分の腕に黒死病の菌を注射、研究施設を燃やしてスラマを道連れにする。
焼け跡からはクラランダンのものと思われる白骨と、頭部だけは人間だが体は全く未知の生物の骨格が発見されるのであった。

クトゥルフ神話の宇宙観が垣間見られる本作、スラマがあっさり死んでしまうのが残念。
で、スラマは何がしたかったんでしょう?











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