【ネタバレ】 「スクールボーイ閣下(上)」 ジョン・ル・カレ

THE HONOURABLE SCHOOLBOY (1977)
John Le Carre



スクールボーイ閣下〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
早川書房
ジョン ル・カレ

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名作「ティンカー」続編! 舞台は東南アジアへ

ますは訃報から。
報道されておりますように萩原健一さんが亡くなりました。
速報で教えていただいた綾小路さん、ありがとうございます。
当ブログで扱った映画で、萩原さん出演作はまだ1本しかないのですが・・・
これ 「八つ墓村」
https://puripuriouch.at.webry.info/201509/article_6.html

が、マカロニ刑事の「マカロニ」とはマカロニ・ウエスタンの「マカロニ」です。
(「お前、マカロニ・ウエスタンみたいなかっこうしてるな。よし、今日からお前は『マカロニ』だ!」)
というわけでマカロニ・ウエスタンのネタバレも、よろしかったらどうぞ。
こちらから
https://puripuriouch.at.webry.info/theme/c6c4f5fbb6.html

では動画を見ながら天国(あるいは地獄)に旅立つ萩原さんを見送りましょう。
まずは定番「太陽にほえろ!」
https://www.youtube.com/watch?v=oj02ew0u4k8

あ?「傷だらけの天使」オープニングが前はあったのに、削除されてる・・・
くそう著作権ヤクザめ・・・


さ、気分を切り替えて久々の小説ネタバレ!
ジョン・ル・カレ「スマイリー3部作」の第2弾、英国推理作家協会賞も受賞した「オナラブル小学生」をお送りします。
いやー長かった!
ふつうのミステリーだと最後にまとめて謎が明かされますが、本作は少しずつ明かされていくので、読み進むうちに明かされた謎を忘れてしまって、ラストに到達した際には「結局あれはどうした?」と置いてきぼり感を味わいました笑
あわてて2回目を流し読みしたら、ようやく少し理解が追いついた・・・
重厚な傑作ではありますが、やはりちょっと整理しないと、頭が混乱しています。

やっぱり前作「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」から読んだ方がいい。
こちらでネタバレしてます。
https://puripuriouch.at.webry.info/201608/article_15.html

サーカス(英国情報部)のトップとナンバー2とナンバー3が、ごっそりソ連と内通するスパイだった、という前作。
ところで組織に潜りこんだスパイを「モグラ(モール)」と呼ぶのは、ル・カレが広めたスパイ用語だそうです。
ホクロも英語だと「モール」なので、「オースティン・パワーズ/ゴールドメンバー」には鼻クソのようなホクロ(モール)を持つ男が敵組織に潜入したモグラ(モール)だったというギャグがありましたね笑

サーカス内の「モグラ」を一掃したのは、冴えない外観のおじさんスパイ、ジョージ・スマイリー。(映画版ではゲイリー・オールドマンが演じました)
ソ連の工作担当官・宿敵カーラへの復讐を胸に、長官に就任したスマイリーの反撃が始まります。
本部の建物にはモグラたちが仕掛けた盗聴器がまだまだ残ってるような状況。
スマイリーは施設をガンガン改修しながら、信頼のおける仲間だけを集めて新体制を発足。

カーラへの反撃の糸口・・・ それは全世界からサーカスに集まってくる情報のうち、モグラたちが握りつぶしたり過小評価したり取り下げたりした「ボツ情報」の中にある・・・ それらの中に、ソ連にとって真にヤバイ情報が含まれてるはずなのだ。
丹念にファイルを当たるスタッフ、ついに片隅に追いやられた没ファイルから重要な手がかりを得るのだった。
「ビエンチャン(ラオス首都)の銀行にソ連から秘密ルートで相当の金額が降りこまれている」

当時サーカスのトップにいたモグラは、この報告を受けると、「この件はCIAが調査中だから彼らに任せろ」と、現地工作員に手を引くよう指示。
一方、CIAとの連絡会議では「この件はうちが担当するから手を出すな」と要請。
これはソ連にとって、よほど重要な何かにちがいない!
当時ラオス局長だったサム・コリンズの証言によると、この振りこまれた金は複数の銀行をトンネルして、最終的に「インドチャーター社」という弱小航空会社の口座に入っていた。
そしてインドチャーターの所有会社の所有会社の所有者は、ドレイク・コウという香港の大物ビジネスマン。
マフィアとつながりもあり、麻薬や金の密輸にも関わっている。

ここにいたってスマイリーは現地に工作員を送りこむと決定。
選ばれたのが本作のもう1人の主人公、やさぐれた新聞記者ジェリー・ウェスタビー
女好きの大男で、子供っぽいところがあるから?「スクールボーイ(小学生)」と仇名される。
これでも貴族の家系なので「オナラブル(高貴なる)」と敬称がつく「オナラブル小学生」なのだ。
前作にも出てたんだけど、どこに出てたか忘れた><

彼が香港に飛んでからが物語の本番なのですが、日本人にとってもなじみ深いアジア地域が舞台となりますので、がぜん興味を引かれます。
ジェリーが知り合いの銀行家を脅してドレイク・コウの口座を調べたところ、インドチャーターに入った金はソックリそのままコウの口座に移され、信託運用されていた。(この銀行家は後にコウの用心棒によって始末される)
たまりにたまって莫大な金額となってるが、これはいったい何に対する報酬なのか?
1人のモグラに対する報酬としては高額すぎる。
はたしてコウはソ連のために、どんな活動をしているのか?

ここでジェリーは運命の女と出会ってしまう。
コウの愛人の白人女性リジー・ワージントン
彼女こそコウの弱点ではないかと、接近を試みるジェリーだが・・・
一方スマイリーたちも関係者への聞き取り調査を続け、コウリジーの背景をかなりつかんできた。
コウにはネルソンという表向きには死亡したことになってる弟がいたのだが、どうやら生きてるらしい・・・


*** 明らかになったドレイク・コウの素性 ***

ドレイクネルソンは戦災孤児の仲良し兄弟、上海でキリスト教宣教師に拾われ、養育された。
時代は太平洋戦争へ、日本軍の進撃、戦後の共産党と国民党の内戦、そして中国の共産化・・・
ドレイクは愛する弟のため身を粉にして働き、弟は次第に共産主義に染まっていく。
やがて弟はソ連に招待され、造船技術などを学ぶ。(この時点で中国とソ連の関係は良好)
が、恐ろしいほど先を見通せるカーラは「今日の友は明日の敵」という信念のもと、ネルソンを洗脳してモグラに仕立て上げてから中国へ帰すのだった。
一方、兄のドレイクはすでに犯罪組織とつながりがあり、香港へ渡って頭角を現していく。
やがて毛沢東の文化大革命が始まり、カーラの読み通り中ソは対立の時代へ。
ソ連帰りのネルソンはいったんは失脚するものの、やはり中国より進んだソ連仕込みの技術が必要とされ、要職に復活。
それどころか中国の国防委員会のメンバーとなり、海軍の情報は全て掌握するポストに大出世。
読みの鋭いカーラは、ネルソンが復権する少し前からスパイ活動の報酬をインドチャーターの口座へ送金開始。
今やネルソンは中国における最大の「モグラ」なのだ・・・

このネルソンをかっさらってしまおうと、スマイリーは企てる。
そうすればカーラにとって大打撃、しかもネルソンがもたらす秘密活動の情報はサーカスにとって非常に有益にちがいない。
だがアメリカの麻薬取締局もドレイク逮捕を狙ってることから、グズグズしてはいられない。
ジェリーよ、ドレイクを揺さぶってネルソンをおびき出すのだ・・・

続きは下巻で! こちらから
https://puripuriouch.at.webry.info/201903/article_19.html


ジョン・ル・カレ作品のネタバレ
「寒い国から帰ってきたスパイ」
https://puripuriouch.at.webry.info/201503/article_2.html
「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」
https://puripuriouch.at.webry.info/201608/article_15.html

ジョン・ル・カレ原作映画のネタバレ
「寒い国から帰ったスパイ」
https://puripuriouch.at.webry.info/201609/article_3.html
「裏切りのサーカス」
https://puripuriouch.at.webry.info/201705/article_4.html
「ロシア・ハウス」
https://puripuriouch.at.webry.info/201503/article_1.html






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この記事へのコメント

綾小路清隆(仮名)
2019年03月29日 23:58
ショーケンショックが癒えない中で今度は「巨人の星」の明子姉さんの声の人、白石冬美さんも亡くなりましたね…
かつて野沢那智とラジオだかの番組を長くやってたそうですな。
野沢那智の訃報は高3の時だったっけ。亡くなるちょっと前に「ダイ、ハード3」放送してたからショックでしたね。未だにブルース、ウィリスの日本語吹き替えは野沢那智か樋浦勉のイメージ強いです(シリーズの論外作「ダイ、ハードラストデイ」でマクレーンの吹き替えを野沢那智の弟子だった中村秀利が担当し、マクレーンの息子の吹き替えを野沢那智の息子、野沢聡が担当)
あうち
2019年03月30日 14:57
いつも知らせていただいてありがとうございます。
白石さん82歳でしたか・・・
ガンダムのミライさんですね。
あ、今気づいたけどアムロとミライって星飛馬とねーちゃんだったのか・・・

野沢那智さんも懐かしいですなー
たしかアランドロン吹き替えもやっておられました

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