【ネタバレ】 「スクールボーイ閣下(下)」 ジョン・ル・カレ

THE HONOURABLE SCHOOLBOY (1977)
John Le Carre



スクールボーイ閣下〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)
早川書房
ジョン ル・カレ

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オナラブル小学生、最後に暴走! おならブー

上巻のネタバレはこちら
https://puripuriouch.at.webry.info/201903/article_18.html

下巻あらすじに入る前に、本書のキーパーソンをネタバレまじえつつ紹介しますよ。

リカルド・・・ 元CIAの雇われパイロット。CIAの仕事で何度も中国南部の雲南省とミャンマー、ラオス間を飛んだ経験あり。
フリーとなって独立、同じ地域を小型機で飛んで主に麻薬を密輸。
後にドレイク・コウに雇われインド・チャーター社の専属パイロットとなり、コウのために麻薬を運ぶ。
だが、ある日・・・ コウから「中国までアヘンを運び、帰りに『ある荷物』を持ち帰ってくれ」と依頼される。
その荷物とは、コウの弟ネルソン
弟の身を案じるコウは独断でネルソンを中国から脱出させようとしたらしいが、中国で逮捕されることを恐れたリカルドは仕事をすっぽかして姿を消す。
当然、コウの怒りを買って始末されるところだが、リカルドの愛人だった白人美女リジーが、自らの体を使ってコウを説得。
以後、リジーコウの愛人に。

リジー・・・ イギリス人の美女リジーは、もともとは教師と結婚して退屈な日常を送っていた。
ある日、刺激と冒険を求めて、夫と子供を残し失踪。
アラビアからネパール、東南アジアへと流れていき、サーカスのラオス支局長だったサム・コリンズに雇われる。(おそらくは愛人でもあった)
後にコリンズのもとを去ってリカルドの愛人となり、インドチャーターの受付として働く。
さらにリカルドコウを裏切った際は、リカルドの命を救うためコウの愛人に。(コウは彼女をかなり気に入って、本妻と同等の待遇をしている)
彼女に接近したジェリーは、やがて本気で熱を上げてしまう・・・

サム・コリンズ・・・ 前作にも登場してるサーカス工作員。
ソ連のモグラだったビル・ヘイドンによってクビにされクラブ経営で生計を立てていたが、今回のスマイリー・チームに合流。
物語の発端となるソ連からの謎資金の流れを見つけ出した人物。
当時のインドチャーターやリジーの事情にも詳しい。
にも関わらず、何か怪しい動きを時おり見せる。
どうも外務省の親米派の幹部を通じてCIAともつながってるようだ・・・ というか、つながってた。
ラストのオチに関係がある。

それでは上巻からの続き・・・
スマイリーの方針は決まった。
弟を愛し、弟のために働きまくって、香港の表社会と裏社会、両面の大立者となったドレイク・コウ
彼は案外心配性なのか、中国でモグラとしては史上最高レベルの重要ポストにつく弟ネルソンの身を案じ、彼を脱出させようと試みた過去があった。
リカルドの裏切りによって、その企ては失敗したが、弟の身に危険が迫ってると感じれば、再び中国から逃がそうとするにちがいない。
そこでジェリーは戦争の取材にかこつけてインドシナ各国を歩き回って潜伏しているリカルドを見つけ出し、ネルソンのことを匂わせたりしろ!
そうすればコウはビクついて、何か行動を起こすはず。

こうしてジェリーは戦争真っ盛りのベトナム、カンボジア、ラオスといった国々を、まるでダンテ「地獄篇」の地獄めぐりのように旅するのだった。
このあたりは作者も現地取材をみっちりしたようで、当時の雰囲気を色濃く感じられる。(いずれも現在は安全に旅行できる地域ですね。管理人もベトナムとカンボジアは行ったよ)
だけどじゃっかん、本題と関係ない戦場の描写が長々と続くような、スパイはどうしたんだというような気がしないでもない。

命からがらの経験を重ねながらも、ジェリーの脳裏をリジーの姿が頻繁によぎっていく。
そしてついにタイ東北部の山中で、武装した小屋に隠れ住むリカルドを発見した!
彼にインタビューしたり、「いっしょにコウを強請ろうぜ」なんて誘ったりするジェリー
表面上は平和的に帰路につくが、帰りの車には爆弾が仕掛けられていた!
そしてリカルドから連絡がいったか、やはりコウは動き出す。

よしジェリー、よくやった。
君の仕事はここまでだ!
だが、ここで事態はスマイリーの計算外の方向に。
任務を外されたジェリーが姿を消したのだ。
香港ではジェリーの同僚の新聞記者が、彼と間違われてコウの手下に殺される・・・
そして物語はクライマックスへ。

中国の広東と香港の間を自由に行き来して漁をするジャンク船団。
かつてドレイク・コウは若かりしころ、このジャンク船に乗って香港へと到着した。
そして今回も、同じルートで弟ネルソンを脱出させるだろう・・・ というスマイリーの読み。
CIAと共同で「ネルソン強奪作戦」の準備を進める。

そのころジェリーリジーのもとへ現れる。
「俺といっしょに逃げよう」
コウの女を奪って、無事に逃げられるわけがないが・・・ ジェリーには策があった。
いったんはサーカスに捕まるジェリー、だがスマイリーの部下をブチのめして逃走。
リジーとともに香港の辺鄙な小島「ポートイ島」を目指す。
そこはコウが初めて香港に上陸した場所であり、ジェリーもまたネルソンはジャンク船でここへ来る、ここで兄と合流する・・・ と読んでいた。

しばらくしてドレイク・コウも自らの船で到着。
そしてジャンク船団からネルソンを乗せた一艘が離脱、ポートイの浜辺へ・・・
そこへ姿を現すジェリー、「ネルソンが狙われている!気をつけろ!」とコウに警告。
ネルソンを助ける代わりに、リジーを俺にくれ」という契約をコウと結ぶのが、ジェリーの目的だった・・・ 女に狂ってサーカスを裏切りおった!
ついに浜辺に降り立つネルソン、兄弟が感動の再会!
が、ここでサーカスの用意したヘリが急降下、ネルソンを拉致して飛び去っていく。
スマイリーの部下が裏切り者ジェリーを冷酷に射殺。
泣き叫ぶコウ、後にはジェリーの骸が残るだけ・・・ (リジーは巻きこまれるといけないので、先に香港島に帰してある)

これは・・・ 名作「寒い国から帰ってきたスパイ」を思い出す主人公死亡END!
ま、冷戦の犠牲者といえるリーマスの死に比べると、ジェリーは自業自得という感がぬぐえない・・・

まだちょっと続きがあって、この後スマイリーの功績は無視されて、ネルソンはCIAによってアメリカへ連れ去られてしまう。(サーカスは取り調べにまったく参加できず)
これまで必死にコウ兄弟を追ってきたスマイリーの部下たちは、ガッカリなんてもんじゃない。
そしてスマイリーは再び引退、後釜にはCIAと強いつながりをもつサム・コリンズが指名される予定・・・
という切ないラスト。

三部作のラスト「スマイリーと仲間たち」も入手済なので、いずれそのうち。


ジョン・ル・カレ作品のネタバレ
「寒い国から帰ってきたスパイ」
https://puripuriouch.at.webry.info/201503/article_2.html
「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」
https://puripuriouch.at.webry.info/201608/article_15.html

ジョン・ル・カレ原作映画のネタバレ
「寒い国から帰ったスパイ」
https://puripuriouch.at.webry.info/201609/article_3.html
「裏切りのサーカス」
https://puripuriouch.at.webry.info/201705/article_4.html
「ロシア・ハウス」
https://puripuriouch.at.webry.info/201503/article_1.html






スマイリーと仲間たち (ハヤカワ文庫 NV (439))
早川書房
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寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174)
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