【ネタバレ】 「ビザンチウムの夜」 アーウィン・ショー

EVENING IN BYZANTIUM (1973)
Irwin Shaw


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カンヌ映画祭に集う大人たちのいろいろエロエロ

翻訳小説冬の時代、アーウィン・ショーのしゃれた都会小説も今はすべて絶版なのかね?
少なくともハヤカワは全滅だが、講談社の「夏服を着た女たち」は生きてるんかな・・・
管理人は高校生のころハードカバー版「真夜中の滑降」を読んで、フムフムまあまあおもしろかったですな、ほいじゃブックオフにぺろっと売り飛ばして以来、久々のショーの小説(ショー説?)と再会。
やはり大人になってから読むと味わいがちがいますな、ガキの読むもんじゃありませんな。

かつては敏腕プロデューサーとして知られたが、今はすっかり業界から姿を消した主人公のジェシー・クレイグ
中年から老年へ移り変わる頃合いのオッサンだが、今ごろになってカンヌ映画祭に姿を現した。
その目的は・・・
日本人も何度かパルム通りで金獅子賞を受賞したカンヌ映画祭、決して「死霊の盆踊り」なんかは上映されない意識高い系の映画祭ですね。
管理人も若いころはよく、ストリートビューでカンヌの街を歩いたものです。
ただ本書は、映画祭の裏側を暴くとか祭りの詳細をレポートするとかではなく、あくまで映画祭は背景程度であり、本筋は主人公ジェシーがいろいろな男や女と出会い別れる物語。

このジェシーという男、終戦後に祖国アメリカへと引き上げる艦内で劇作家志望の兵士ブレナーと出会い、その才能を見出したことからショービジネスの世界へと足を踏み入れる。
だが1作目こそ成功を収めたもののブレナーは典型的な一発屋で、その後は鳴かず飛ばず、それでも友情から支援していたジェシーであったが、結局はブレナーから恨まれたまま別れることに。(さらにその後、ブレナージェシーを恨んだまま病死)
それにくわえて妻の複数の男性との浮気が発覚したり(ブレナーとも寝ていた)、いろいろあって精神的に参ったジェシーは表舞台から姿を消すのだった。

だが再起を決意、今回初めて自ら脚本を執筆、その原稿をもってカンヌへと乗りこんだのだが・・・
そこで待っていたのは映画祭を取材する若くてピチピチの美人記者ゲイル・マッキノン
何が目的なのかジェシーに異常接近する彼女は、ジェシーに関する異様に詳しいデータを持っていた。
このゲイルとはいったい何者なのか、というのが物語を引っ張る謎のひとつですが、先にネタバレすると(後にすると忘れそうなので)、
彼女の母はかつてジェシーの大ファンであり、彼の事務所に就職して、いろんな情報を集めてはファイルにしていた。
後に事務所を辞めて結婚、生まれたゲイルは子供のころから母が残したファイルを読み漁り、しだいにジェシーを理想の男性と考えるようになった・・・
というのが終盤に明かされるゲイルの正体。

このゲイルとのミステリアスな関係を軸に、パリの愛人コンスタンス、実の娘でファザコンのアン、かつてはベストセラーをモノにしたが今はアル中の作家ウォドレーなどの人物が絡み合い、物語は進む。
ついに大物プロデューサーに脚本を読ませ、認めてもらうジェシー
映画製作へゴー! というところでジェシーは尻から血を吐いて緊急入院。
重度の胃潰瘍だった・・・
どうにか命は取りとめたものの、ゲイルコンスタンスも愛した女たちはいろいろな事情で去っていき、妻とは離婚、娘は酔いどれ作家ウォドレーと駆け落ち。
すっかり1人ぼっちとなって退院する、かわいそうなジェシー
医者からは「酒を飲んだら確実に死にますよ」と警告されるが、まっさきにバーへ直行、ウィスキーソーダをグイッとあおる。
「酒がこんなに美味かったことはなかった。」というラスト。(まあ気持ちはわかる)
死ぬのか、ジェシー
それとも生き延びて自らの脚本で映画を作るのか?

タイトルのビザンチウムとは今のイスタンブール、かつての東ローマ帝国の首都。
かつては黄金時代とも呼べる時期があったが今はすっかり落ちぶれたジェシーの境遇を、東ローマ滅亡前夜「ビザンチウムの夕暮れ」にたとえています。
あまり映画祭の描写はないものの、唯一タイトルが出てくる実在する映画が「ウッドストック」
野外フェスのはしりとなったウッドストック・フェスティバルの実録映画で、ジェシー(というか作者ショー)はかなり辛口な批評をしていて笑える。
たぶん今の若い人たちが見てもジェシーと同じような感想を持つんじゃないかな。
ああいうのは当時若者だった世代の人しか理解できないでしょう。
普遍性がないというか。

あと主人公の脚本に対する信念として、「たとえ架空の物語・人物であっても、作者ジェシー・クレイグの生き様が現れていなければイカン」みたいなこと言ってますが、ショーの信念でもあるのでしょう。
見習いたいものです。
たとえ単なるネタバレの駄文であっても、著者の生き様が・・・ 生き様が・・・ ションボリ。
アーウィン・ショーはこの他、文庫版「真夜中の滑降」を入手済みですが、いつになったら読めるやら。
ともかく古本屋でショーの小説(ショー説?)を見つけ次第、ゲットする所存。



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