【ネタバレ】 「20億の針」 ハル・クレメント
NEEDLE (1950)
Hal Clement

20億の針【新訳版】 (創元SF文庫)
「人間に寄生する異星人」の原点
久々に小説のネタバレ・・・
自分でも忘れてましたが当ブログはもともと小説のネタバレ、特にラヴクラフト全作品ネタバレを目的に立ち上げたものなんですねー。
ところで最近SFを読むのがシンドくなってきたんですけど・・・ 自分の嗜好が変わってしまったのか、もともとSFなんて大したもんじゃないのか、その辺を確かめるべくSF小説7本一気読み!
第1弾は「寄生獣」や「ヒドゥン」など、後のコンテンツに多大な影響を与えたハル・クレメントの名作「20億の針」をお送りします!
あー文章が読みにくい笑
SF作家にはカート・ヴォネガットやP・K・ディックのような「文学志向」(文系)のタイプがいる一方、ハードSFを書くような科学知識豊富な理系タイプの作家もいる。
前者は文章を楽しみながら読めるのに比べ、後者の書く文章は読んでて疲れることが多いんじゃないかな?(そのかわり後者はアッと驚くアイデアでSFの醍醐味を味合わせてくれることが多く、苦労はじゅうぶん報われる可能性高いけど)
クレメントの作品は初めて読みましたが、まちがいなく後者ですね。(ハードSFなんだから当然ですね)
特に地理や地形の説明がダラダラ続くところがツライ。(これはSFに限らず翻訳小説全般に言えること)
簡単な地図を付けてくれればいいのに・・・
しかし物語の基本設定は、さすがに歴史的名作。
宇宙の彼方より飛来する飛行物体、それを追うもうひとつの飛行物体。
逃げる方は異星の「犯罪者(ホシ)」が乗る宇宙船、追うは「刑事(捕り手)」の宇宙船。
両者ともにアメーバのような姿の粘液状生物、たまたま前方に出現した地球に突入するが・・・
あ、これ「ウルトラマン」第1話のベムラーとウルトラマンだ!
思わぬところで元ネタ発見、うれしいなり。
南太平洋に着水した「捕り手」の宇宙船は大破。
「ホシ」も近くに墜落してるはずだが、どうやって探し出そうか・・・
他の生物に寄生して活動する習性の生物なので、とりあえず島で暮らす少年ボブの体内に侵入。
ボブは頭の回転が速くて素直な良い子だったので、「捕り手」とのコミュニケーションも良好に進み、「ホシ」の探索に協力することに。
異生物に寄生されたボブ少年、「寄生獣」のような攻撃力はないが、負傷した場合に内部から「捕り手」が細胞とか神経とか操って修復してくれる。
ただ「捕り手」は地球に関する知識が全くないので、そこをボブがナビゲートするというコンビ・プレイ。
まるで少年漫画のようなワクワクする展開ですが、イマイチ盛り上がらないんだな、これが。
やはり基本的なアイデアがすべて、みたいな小説だな・・・
邦題の「20億の針」とは、当時の世界人口が20億だったと思いますが、「ホシ」は地球上の誰に寄生してるのかわからない、全人類が容疑者であり、20億の藁の中から1本の針を探すような難しい捜査・・・ という意味なのですが、これはちょっと盛りすぎだなあ。
だって容疑者はたちまちボブの友人の4人か5人くらいに絞られてしまうし、物語の舞台はほとんど小さい島の中だけだから。(根拠としては、「ホシ」も「捕り手」の近くに着水したはずで、この島に上陸したはずで、ボブといっしょに砂浜で昼寝をしていた友人たちの誰かに寄生したはずだから)
ちなみに原題は単なる「針」なので、盛ってはいません笑
友達と遊びながらも犯人の捜査を続けるボブ、時に「ホシ」が仕掛けたらしい罠で危険な目にあうことも。
だが「ホシ」が寄生していたのは友人たちでなく、ボブの父だった!(父本人はそれに気づいていない)
父がノコギリの歯の部分を無神経に握ったり、不用心な行動を重ねていたのを「捕り手」が気づいたのだ。(体内に潜む「ホシ」が自己防衛のため宿主の細かい傷を修復していた、父はそれに気づかないまま、傷がすぐ直るので無意識に不用心になっていた)
だが父を傷つけずに、どうやって体内の「ホシ」を退治する?
ボブは倉庫に火をつけ、「わーパパ、助けてくれー」
近くをジープで通りかかった父は、あわてて倉庫の方へハンドルを切る。
が、体内の「ホシ」は危険な場所に近づきたくないので、父の神経をギュッと絞めて失神させる。
父はブレーキを踏み損ねて失神したので、ジープは倉庫に突っこむ。
父は軽症だが、火が燃え移りそうなので「ホシ」は父の体内から脱出。
寄生さえしてなければ、ほんの小さな哀れな生き物・・・ ボブは「ホシ」にガソリンをかけて焼き殺すのだった。
こうして宇宙の逃亡犯は始末されたが、宇宙船が大破してしまい「捕り手」は母星に帰ることができない。
「ボブ、君の体内のずっといてええんか?」
「ええんやでー」
2人の間には友情が芽生えた。 完
もうちょっと少年と異星人の間の友情エピソードとか、おもしろいやり取りとかあると良かったんだけど。
ま、理系作家だし、こういうジャンルのパイオニアだし、そこまで要求するのは酷か。
ハリウッドで映画化すればいいのに。
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キリン 生茶 525mlPET ×24本
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「人間に寄生する異星人」の原点
久々に小説のネタバレ・・・
自分でも忘れてましたが当ブログはもともと小説のネタバレ、特にラヴクラフト全作品ネタバレを目的に立ち上げたものなんですねー。
ところで最近SFを読むのがシンドくなってきたんですけど・・・ 自分の嗜好が変わってしまったのか、もともとSFなんて大したもんじゃないのか、その辺を確かめるべくSF小説7本一気読み!
第1弾は「寄生獣」や「ヒドゥン」など、後のコンテンツに多大な影響を与えたハル・クレメントの名作「20億の針」をお送りします!
あー文章が読みにくい笑
SF作家にはカート・ヴォネガットやP・K・ディックのような「文学志向」(文系)のタイプがいる一方、ハードSFを書くような科学知識豊富な理系タイプの作家もいる。
前者は文章を楽しみながら読めるのに比べ、後者の書く文章は読んでて疲れることが多いんじゃないかな?(そのかわり後者はアッと驚くアイデアでSFの醍醐味を味合わせてくれることが多く、苦労はじゅうぶん報われる可能性高いけど)
クレメントの作品は初めて読みましたが、まちがいなく後者ですね。(ハードSFなんだから当然ですね)
特に地理や地形の説明がダラダラ続くところがツライ。(これはSFに限らず翻訳小説全般に言えること)
簡単な地図を付けてくれればいいのに・・・
しかし物語の基本設定は、さすがに歴史的名作。
宇宙の彼方より飛来する飛行物体、それを追うもうひとつの飛行物体。
逃げる方は異星の「犯罪者(ホシ)」が乗る宇宙船、追うは「刑事(捕り手)」の宇宙船。
両者ともにアメーバのような姿の粘液状生物、たまたま前方に出現した地球に突入するが・・・
あ、これ「ウルトラマン」第1話のベムラーとウルトラマンだ!
思わぬところで元ネタ発見、うれしいなり。
南太平洋に着水した「捕り手」の宇宙船は大破。
「ホシ」も近くに墜落してるはずだが、どうやって探し出そうか・・・
他の生物に寄生して活動する習性の生物なので、とりあえず島で暮らす少年ボブの体内に侵入。
ボブは頭の回転が速くて素直な良い子だったので、「捕り手」とのコミュニケーションも良好に進み、「ホシ」の探索に協力することに。
異生物に寄生されたボブ少年、「寄生獣」のような攻撃力はないが、負傷した場合に内部から「捕り手」が細胞とか神経とか操って修復してくれる。
ただ「捕り手」は地球に関する知識が全くないので、そこをボブがナビゲートするというコンビ・プレイ。
まるで少年漫画のようなワクワクする展開ですが、イマイチ盛り上がらないんだな、これが。
やはり基本的なアイデアがすべて、みたいな小説だな・・・
邦題の「20億の針」とは、当時の世界人口が20億だったと思いますが、「ホシ」は地球上の誰に寄生してるのかわからない、全人類が容疑者であり、20億の藁の中から1本の針を探すような難しい捜査・・・ という意味なのですが、これはちょっと盛りすぎだなあ。
だって容疑者はたちまちボブの友人の4人か5人くらいに絞られてしまうし、物語の舞台はほとんど小さい島の中だけだから。(根拠としては、「ホシ」も「捕り手」の近くに着水したはずで、この島に上陸したはずで、ボブといっしょに砂浜で昼寝をしていた友人たちの誰かに寄生したはずだから)
ちなみに原題は単なる「針」なので、盛ってはいません笑
友達と遊びながらも犯人の捜査を続けるボブ、時に「ホシ」が仕掛けたらしい罠で危険な目にあうことも。
だが「ホシ」が寄生していたのは友人たちでなく、ボブの父だった!(父本人はそれに気づいていない)
父がノコギリの歯の部分を無神経に握ったり、不用心な行動を重ねていたのを「捕り手」が気づいたのだ。(体内に潜む「ホシ」が自己防衛のため宿主の細かい傷を修復していた、父はそれに気づかないまま、傷がすぐ直るので無意識に不用心になっていた)
だが父を傷つけずに、どうやって体内の「ホシ」を退治する?
ボブは倉庫に火をつけ、「わーパパ、助けてくれー」
近くをジープで通りかかった父は、あわてて倉庫の方へハンドルを切る。
が、体内の「ホシ」は危険な場所に近づきたくないので、父の神経をギュッと絞めて失神させる。
父はブレーキを踏み損ねて失神したので、ジープは倉庫に突っこむ。
父は軽症だが、火が燃え移りそうなので「ホシ」は父の体内から脱出。
寄生さえしてなければ、ほんの小さな哀れな生き物・・・ ボブは「ホシ」にガソリンをかけて焼き殺すのだった。
こうして宇宙の逃亡犯は始末されたが、宇宙船が大破してしまい「捕り手」は母星に帰ることができない。
「ボブ、君の体内のずっといてええんか?」
「ええんやでー」
2人の間には友情が芽生えた。 完
もうちょっと少年と異星人の間の友情エピソードとか、おもしろいやり取りとかあると良かったんだけど。
ま、理系作家だし、こういうジャンルのパイオニアだし、そこまで要求するのは酷か。
ハリウッドで映画化すればいいのに。
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この記事へのコメント
私がこの小説を最初に読んだのは,今から50年ほど前の中学生時代.
多少はジュブナイル的な要素があり(クレメントは数えるほどだが
ジュブナイルも書いている),中学生の私には結構ぐっときました.
既にSFに十分毒されていた私には,いささかも難読書ではありません
でした.
クレメントとアシモフが友人であったことを知ったのは,「重力の
使命」や,「SFマガジン」で紹介された逸話からでしたが,
アシモフとは全く違った世界観はお気に入りでした.
亡くなって1~2年もたってそれを知った時には,一人通夜をしました.
なお「寄生獣」の作者は,執筆時にこの小説を知らなかったとのこと
ですが,本当でしょうか.
たしかに小中のSFにハマっていた時代って、読みにくさも気にせずバリバリ読めましたよね。
しかし大人になってみると、たとえば小学生のころハマっていたレンズマンなんかを読み直してみると、あまりの読みずらさに辟易してしまいました笑
へーアシモフとクレメントが友人だったのですか。
そういえばアシモフは読みにくいと思ったことはないなー。
作家として一段上なのかも・・・
寄生獣が本当に本作の影響なしだったらスゴイですね!
でもヒドゥンとか、そういう寄生宇宙人系の映画は見てるんじゃないかなあ、と思いますが・・・