【ネタバレ】 「暗闇のスキャナー(スキャナー・ダークリー)」 フィリップ・K・ディック

A SCANNER DARKLY (1977)
Philip K. Dick


スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫SF) - フィリップ・K. ディック, Dick,Philip K., 久志, 浅倉
スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫SF) - フィリップ・K. ディック, Dick,Philip K., 久志, 浅倉


自分で自分を監視する、それは笑いごとでない悲劇

P・K・ディック3冊一気読みの最後は、管理人としてはこれをディック最高傑作に推したい!
一番好きかもしれない「暗闇のスキャナー」(サンリオ版の邦題、後にハヤカワから「スキャナー・ダークリー」として復刻)をお送りします。

今回再読して2点気づいたことがあります。
まず1点、これSFじゃねーわ笑
作品全体を通じてSF要素と言えるのは、麻薬捜査官が「公」の時に身にまとう「スクランブル・スーツ」のみ。
これは全身をスッポリ覆う光学迷彩っぽい防護服?のようなものだが、数万パターンの顔や体が瞬時に切り替わりながら表面にディスプレイされ、装着してる本人の印象がボヤーッとぼやけて、決して本人を特定できないというアイテム。
警察本部内にも麻薬組織のスパイが潜入してるので、捜査官の身の安全のため本人以外は素性も素顔も決して知られないようになっている。(上司すらも部下の素性を知らないって問題あるんじゃないかい?)
捜査官はおもに潜入捜査に携わっており、潜入中は素顔をさらし、警察本部に出勤する時はスクランブル・スーツをまとうという具合に切り分け。
主人公もヤクの売人ボブ・アークター(映画版ではキアヌ・リーブス)と捜査官フレッドという2つの顔を持っている。(いかにも「分裂」しそうな設定!)
これを除くとSFらしい設定も小道具もなく、限りなく一般小説・ドラッグ小説・犯罪捜査小説に近いのです。

2点目、これほとんどストーリーねーわ笑
ま、一応最後まで読むと主人公が麻薬の原料を栽培する「秘密農場」をつきとめる物語だったんだなーと気づきますが、内容としては大部分がディック本人および友人たちの体験に基づくと思われる、麻薬中毒者たちのダラダラしてハッピーだが狂気に満ちた日々。
冒頭の「全身にアブラムシがたかっている」妄想に始まり、脳も精神もトロトロに溶かされてヤクのことしか考えられなくなった人々の悲惨きわまりない、しかし妙にほのぼのとした日常生活。
ディック自身の言葉でいうと「あまりにも厳しく罰せられた人々」のたどった運命に(自業自得とはいえ)慄然とせざるを得ません。
そういえばディックならではの世界がグニョグニョになる「ディック体験」もなければ、神学や哲学の話題も控えめ。
あらためて読み直すと、あまりディックぽくない・・・ようで、やはり強烈なディック・ワールド
未読の方は、ある程度は他のディック作品を読んでからの方がいいかもね。

では、あってなきがごとしのストーリーを簡単にまとめますと、
1、麻薬捜査官フレッドは「売人ボブ・アークター」という人物になりすまして、中毒者たちと共同生活をしていた。(目的は麻薬D(デス)の製造者をつきとめること)
2、同居人の一人がアークターを警察に密告・・・ アークターの家には極秘に監視装置が取り付けられ、上司からの指令でフレッドアークターを監視するハメに・・・(アークターの生活が秘密カメラで撮影され、それを本部に出勤したフレッドが何時間もえんえんと再生してチェックする)
3、「自分で自分を監視する」という異常な状況、および麻薬常習者と日常的に接することから自らも麻薬Dを多量に摂取したことにより、フレッドアークターの脳/精神に異常が現れ・・・やがて分裂症に。(フレッドは自分がボブ・アークターだとわからなくなってしまう)
4、ついに廃人になり、上司の命令で任務を外され事実上の引退。
アークターの愛人ドナ(映画ではウィノナ・ライダー)が彼を療養施設に放りこむ。
5、最後の方は、人間というより植物に近い生き物となってしまったアークターの療養生活が描かれる。(脳が致命的な損傷を受けており回復することはない)

だが、実は・・・この療養所こそ麻薬Dを生産する犯罪組織の拠点!(ドナもまた正体は秘密捜査官であり、完全に廃人と化したアークターなら組織も油断するだろうと彼を送りこんだのである)
秘密の農場で働くことになったアークター、麻薬の原料となる草をコッソリ靴の中に隠す(これが後に証拠物件となるであろう)・・・ というところでEND。

ま、ドラッグはやらないにこしたことはない・・・
映画版ってアニメなのね。
そのうち見てみるか。


フィリップ・K・ディック作品(小説)のネタバレ
「高い城の男」
http://puripuriouch.at.webry.info/201601/article_3.html
「ユービック」
https://puripuriouch.at.webry.info/201808/article_7.html
「火星のタイム・スリップ」
http://puripuriouch.at.webry.info/201209/article_33.html
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」
http://puripuriouch.at.webry.info/201412/article_5.html
「逆まわりの世界」
https://puripuriouch.at.webry.info/201912/article_3.html
「テレポートされざる者(ライズ民間警察機構)」
https://puripuriouch.at.webry.info/202001/article_11.html
「最後から二番目の真実」
http://puripuriouch.at.webry.info/201710/article_11.html
「パーマー・エルドリッチの三つの聖痕」
https://puripuriouch.at.webry.info/201808/article_8.html
「死の迷宮」
http://puripuriouch.at.webry.info/201709/article_5.html
「流れよ我が涙、と警官は言った」
http://puripuriouch.at.webry.info/201508/article_1.html
「聖なる侵入」
http://puripuriouch.at.webry.info/201407/article_6.html
「ヴァリス」
https://puripuriouch.at.webry.info/201812/article_8.html
「ティモシー・アーチャーの転生」
http://puripuriouch.at.webry.info/201703/article_18.html

フィリップ・K・ディック原作の映画化作品ネタバレ
「ブレードランナー」
http://puripuriouch.at.webry.info/201212/article_10.html
「トータル・リコール」
http://puripuriouch.at.webry.info/201403/article_16.html
「マイノリティー・リポート」
http://puripuriouch.at.webry.info/201707/article_16.html
「ペイチェック 消された記憶」
https://puripuriouch.at.webry.info/201803/article_12.html


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