【ネタバレ】「スパイたちの遺産」ジョン・ル・カレ

A LEGACY OF SPIES (2017)
John Le Carre


スパイたちの遺産 (早川書房) - ジョン ル カレ, 加賀山 卓朗
スパイたちの遺産 (早川書房) - ジョン ル カレ, 加賀山 卓朗


あの名作「寒い国から」50年目の続編!

「あの名作の続編」4連読書、3冊目!
冷戦時代が生み出したスパイ小説金字塔「寒い国から帰ってきたスパイ」の続編が今ごろ! 21世紀のスマホの時代になってから発表されましたが、時代流れすぎだろ・・・
ジョン・ル・カレ「スパイたちの遺産」をお送りします。
「寒い国から」の続編であると同時に「スマイリー3部作」の続きでもありますので、3部作全部とは言わないまでも、第1作「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」(映画化名「裏切りのサーカス」)くらいは読んでおかないと話わからんちんです。
この記事はそういった過去作品のネタバレも含みますので、未読の方はご注意を。
ちなみに本筋とは関係ないのですが、「スマイリーと仲間たち」ラストで西側に亡命したKGBカーラ、名前を変えて南米で暮らしていたそうですが、現地で自殺したんですって・・・(理由は不明)
ぶっちゃけ「寒い国から」の続きエピソードよりも、この方がショックでした。
あと驚いたのが、スマイリーが所属する「サーカス」の愛称で呼ばれる秘密情報部(ケンブリッジ・サーカスに面してるので)、実際に情報部員だったル・カレが公務員機密保持法に触れないよう「架空の情報部」というタテマエになってると思ってたのですが、本作では紛れもなく「MI6」であったと判明します。
そう、あのジェームズ・ボンドが属するMI6です。
「ワールド・イズ・ノット・イナフ」「スカイフォール」「スペクター」と3度も爆破された、あのテームズ川沿いのSFっぽい建物、あれが舞台となって入館手続きなんかも詳細に描写されております。
いやー・・・ 007とつながった。(つながってません)

今回はピーター・ギラムが主人公で、彼の一人称によって物語は語られる。
ギラムが何者か知らない方はネタバレを読まないようオススメしますが、要するにスマイリーの右腕だった人物。
銃・格闘・車の運転が得意、女にも強いという、まあぶっちゃけジェームズ・ボンドっぽい人だが、頭は優秀ではない。
今は引退してフランスの農場で暮らすギラムMI6に呼び出され、法律担当の人から「えらいことになった」と聞かされる。
あの「寒い国」衝撃のラストから、どれだけの年月が流れたろうか・・・ ベルリンの壁に散ったアレック・リーマス、彼にはなんと隠し子がいた!
「うひょー」
さらに彼といっしょに心中したヒロイン、図書館司書のエリザベス、彼女にも娘がいた!(こちらは少女時代にレイプされ出産した子)
「うひゃー」
そんな2人の「ジュニア」が手を組んで、「わしらの親はMI6に殺された」と裁判で訴える準備を進めている!
「どひゃー!」
過去作品のヒーローの第2世代が出てくる展開、少年ジャンプの人気作品がスーパージャンプで復活する(第2世代が主人公となって)パターンに似てますねえ笑

「わしらMI6はスキャンダルをできるだけ避けたいので、まず当時の状況を知りたいのだが、肝心のスマイリーは行方不明。しかも当時のファイルや資料もゴッソリ行方不明。ギラム君、あなたなんか知ってますやろ?」
「知らないもんねー」口笛ぴゅーぴゅー
実は「寒い国」の当時、すでにビル・ヘイドンMI6上層部にいて、ソ連に情報を流していた。
証拠はつかめないものの、何かおかしいと感じたスマイリーはベルリン作戦に関するファイルをすべて持ち出し、独自に保管していたのである。(そのおかげで作戦は成功した)
ビル・ヘイドンの件は承知してますけどねー、もしMI6上層部に隠したままスマイリーが独断で作戦を進めたのなら、あの2人の死はMI6でなくスマイリーの責任だよねー。裁判で訴えられるのは私らでなくスマイリーだよねー。そしてスマイリーの右腕たった君も・・・」
果たしてギラムは、うまく切り抜けて自分と師匠を守れるのか?(隠していた資料はセーフハウス(隠れ家)のひとつから大量に見つかってしまう)

こうしてギラムの心は過去にさかのぼっていき、「寒い国」の裏事情が語られる。
工作担当官としてブイブイいわせていたころのアレック・リーマス、まずハンガリーに重要な情報源リーメックを確保。(「寒い国」冒頭で西側に亡命しようとして射殺される人)
さらにリーメックが下部情報源ドリス(暗号名チューリップ)を確保。
このチューリップの正体が割れそうなので西側に脱出させる作戦をリーマスギラムで実行。(この時ギラムは悪い癖で彼女とセ、後にこの事実を追及される)
彼女には幼い息子がいるのだが、偽造パスポートには子供のことは記載されていない。
リーマス「息子さんは必ず後で送り届けるから!」(送り届けない)と説得、どうにかドリスをイギリスまで脱出させるのだった。
が、ロンドン郊外のセーフハウスで、彼女は首吊り死体となって発見される。
息子と引き離されたことを気に病んで自殺か?
いやいや、実は東ドイツから送りこまれた暗殺者によって殺され、自殺に偽装されたのだ・・・
その殺し屋は運悪く仕掛けてあったウサギ用の罠にかかってしまい、MI6に確保される。
その名はムント・・・ そう、あの「寒い国」ムントです!
ここでスマイリームントと交渉、「我々の味方にならないか」と説得。
イヤなら東ドイツ情報部(シュタージ)に、「ムントは裏切って我々にペラペラしゃべっちまいましたよ」と情報を流す。
そうすれば君は裏切り者として報復されるよ・・・ と脅され、ムントスマイリーの持ち駒となった!

こうして東ドイツに帰還したムントは、シュタージの高官へと出世の階段を昇っていく。(スマイリームントに流してやる「西側の情報」が評価されたため)
このようにシュタージ上層部に手駒を忍びこませるスマイリーの見事な作戦。
(ちなみにいつもコメントくださる太郎様のお話では、シュタージ本部は現在ホテルとして営業してるらしいよ)
が、スマイリーはこのことをリーマスには伏せたまま。(ドリスは自殺、ということに)
これが「寒い国」ラストの悲劇へとつながるわけですが。
シュタージ内部に盤石の地位を築いたかに見えたムントだが・・・ フィードラーという強力なライバルが出現、「もしかしてムントはイギリスのスパイでは?」と疑いをもたれる。
ここからがご存知「寒い国」の物語、リーマスエリザベスを利用して「フィードラー潰し」の作戦が始まる。
リーマスに殴られたあの「食料品店の親父」(映画だとボンドの上司「M」役のバーナード・リーが演じた。「殴ったね!ショーン・コネリーにだって殴られたことないのに!」)も再登場、実は共産党員のアジテーターだったことが判明。
かわいそうな一般人だと思ってたが、殴られても問題ないようだ。

物語は過去から現代へと戻ってくるが、すっかりダメ人間に成長したリーマス息子がたびたびギラムの前に現れ、脅すような行動をとる。
最後には銃をもってギラムを殺そうとするも殺せず、泣きながら退場。
実はヘタレだった・・・ 裁判も結局取り下げたようだ。
ラスト、ついにギラムスマイリーと再会。
妻とも別居、孤独に暮らすスマイリーだが、過去の作戦を後悔したことはない。
「イギリスというよりヨーロッパのためにやった。より良いヨーロッパの未来のために」
「寒い国」ラストについては、「ムントが残虐性を発揮して2人を殺してしまうとは予想外」と語り、ムントのせいにしちゃってますが・・・
リーマスは助けようとしてたけど、エリザベスは見殺しじゃなかったけ?
50年もたってるので、記憶がボケてるんじゃないか・・・ というエンディングでした。
この後、ギラムは追及を逃れてフランスへ脱出、無事農場に帰り着く。

これがスマイリー最終作かな?
ル・カレ好きなら読んだ方がいいでしょう。
好きでないなら読まなくてもいいでしょう。


ジョン・ル・カレ作品(小説)のネタバレ
「寒い国から帰ってきたスパイ」
https://puripuriouch.at.webry.info/201503/article_2.html
「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」
https://puripuriouch.at.webry.info/201608/article_15.html
「スクールボーイ閣下(上)」
https://puripuriouch.at.webry.info/201903/article_18.html
「スクールボーイ閣下(下)」
https://puripuriouch.at.webry.info/201903/article_19.html
「スマイリーと仲間たち」
https://puripuriouch.at.webry.info/202002/article_6.html

ジョン・ル・カレ原作の映画ネタバレ
「寒い国から帰ったスパイ」
https://puripuriouch.at.webry.info/201609/article_3.html
「裏切りのサーカス」
https://puripuriouch.at.webry.info/201705/article_4.html
「ロシア・ハウス」
https://puripuriouch.at.webry.info/201503/article_1.html
「ナイロビの蜂」
https://puripuriouch.at.webry.info/202005/article_10.html


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この記事へのコメント

太郎
2020年12月07日 17:24
う…ううう。記事よみたい!
でも「寒い国から…(「北の国から」が間抜けに感じる)」しか読んでない。
きほんにネタバレOKなのですが、スマイリーは知能戦な印象が深く、
ちと読んでしまうと…な怖れを感じます。ここは涙のんで、スマイリーシリーズを一通り読んでからにします。  
てか、ボンド再読も終わってないがな(早く終わらせたくない気持ちもある) あと、おうち様有難うございます。
昨日はペルシダーとジュブナイルSFとか話せて本当に楽しかった😀
あうち
2020年12月07日 18:00
こばわー。

そうですね、ネタバレの前に小説を読んだ方が絶対いいです!
私も懐かしい話題が話せてうれしかったですし、これまらもバローズなど懐かしいネタを取り上げます!
あうち
2020年12月08日 08:40
おはようございまーす。

おお、おもしろいお話をありがとうございます!
この後、削除しておきますね。
「こだまよしお」で検索しようとして「こだまきよし」と入力してしまいアタック25の司会者が出てきた・・・
その絵の話はたしかにミステリアスですねえ。
私も神代文字は作り話と思いますが、なるほど暗号として使うのか・・・
太郎
2020年12月15日 01:36
こーばんわー。
ル・カレさん亡くなられてしまいましたね。
寒い国…半世紀も前の出版だったか。うーむ…まだアメリカ一極でブイブイ言わせていた時期に読んたから、そんなに違和感なかったのですけど。
何にせよ合掌!
あうち
2020年12月15日 08:36
おはようございまーす。

そうなんですよ!
イアン・フレミングと同時代から活躍・・・
まだ89歳だったのか、90こえたかと思ってた。
今年はいろんな方が亡くなります・・・

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