【ネタバレ】「007/ムーンレイカー」(後編) イアン・フレミング

MOONRAKER (1955)
Ian Fleming



007/ムーンレイカー (創元推理文庫 138-2)
東京創元社
イアン・フレミング

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原爆ロケット「ムーンレイカー号」をめぐる、原作ボンド第3の冒険

前編はこちら
http://puripuriouch.at.webry.info/201504/article_15.html

それでは、長編としては1番最後に映像化された「ムーンレイカー」原作を見ていきましょう。
イギリスの大富豪ヒューゴー・ドラックス卿は自前で原爆ロケットの製造を進め、完成すれば国家に寄贈する予定。
これが評価されて叙勲、サーの称号を得た。
原爆アレルギーの日本からすると信じがたい話ですが、核兵器バンザーイ!が世界的には普通の感覚なのです。(ま、いいか悪いかは別にして)
ドーバーの白亜の岸辺(ここで恐竜化石が発見されて「白亜紀」の名の由来になる)には原爆ロケット「ムーンレイカー」製造基地が作られ、急ピッチで作業は進んでいた。
が、ある日・・・ 警備の警官が不審な死を遂げる。
敵スパイが破壊工作を企て潜入したのだろうか?
ボンド婦人警官ガーラとともに基地に出向、警備を担当することに。

今回の悪役ドラックスは映画版とはイメージがだいぶ異なり、赤毛・髭モジャ・乱杭歯の恐ろしく不愉快な人物。
シリーズを通してトップクラスの名悪役で、彼のキャラクターはむしろ「ダイ・アナザー・デイ」グレーブスに受け継がれてると思います。
その正体はかつてのドイツ軍人フーゴ・フォン・デル・ドラッヒェ伯爵、憎きイギリスに復讐するためソ連のスパイに成り下がり、顔を整形してドラックスとして生まれ変わったのだ。
そしてもちろん原爆ロケットもイギリスを守るためではなく、破壊するため。
海に向かって発射する予定のムーンレイカー1号の試射、実は本物の原爆を搭載してロンドンを目標に設定している!

そしてボンドガールはロンドン警視庁のガーラ・ブラント巡査、こちらは魅力が薄い・・・
まず名前がひどいね、ガーラ湯沢みたい。
映画版でも「ホリー・グッドヘッド」という名に変更してました。(こっちもひどいけど・・・)
実は婚約者がいるガーラ、最後はボンドを捨てて去っていきます。(これもなんか感じ悪い・・・)

ドラックスの野望を察知したボンドロンドンからドーバーまで長距離カーチェイスを繰り広げる。
ドラックスのメルセデスVSボンドのベントレー、途中で走り屋(笑)のアルファロメオが割りこんでくるが、あっさり弾き飛ばされる。
アルファがザコ扱いで悲しい!
最後はドラックスの手下クレッブスが通りがかったトラックの荷台に乗り移り、積み荷を縛るロープを切ると・・・
転落する積み荷に巻きこまれクラッシュするベントレー、まさかのボンド敗北
このカーチェイスは今後の映画で映像化してほしいところ。
「スペクター」ローマでのカーチェイス「積荷巻きこまれクラッシュ」やってくれたらうれしいな。

さて捕らわれたボンドガーラは、まもなく打ち上げられるムーンレイカー1号の噴射口近くに監禁される。(ここは映画版で採用された唯一のシーン)
間一髪脱出したボンドムーンレイカーのジャイロ・コンパスを180度反転させ、ガーラとシャワーを浴びながら噴射の炎に耐える。
ロンドンに向かうはずだった原爆ロケットは、180度反対方向の海へ(もともとの試射の予定通りに)飛んでいき・・・
ソ連の潜水艦で脱出したドラックスを直撃するのだった。


第1作「カジノ・ロワイヤル」レイモンド・チャンドラーを意識したハードボイルド風・・・
第2作「死ぬのは奴らだ」では南の島を舞台に、海賊の金貨をめぐる冒険色の濃い活劇となり・・・
第3作の本作ではちょびっとSF的なテイストも入り、現実味の薄いヒーロー物語となって、だんだん「007らしさ」が出てきましたね。
少しでも現実味を出すために序盤は「ブレイズ・クラブ」カード対決、という工夫をこらしたのでしょう。
チャンドラーの影響は完全に脱して、フレミング独自の世界を築けたと思う・・・
が、冒険小説としての評価は微妙かもしれない。











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